画像・デザイン公開日 更新日 読了目安 約8

画像の解像度とdpiの違い|Web用と印刷用に必要なピクセル数の求め方

印刷所から「350dpiで入稿してください」と言われても、手元の画像が条件を満たしているか分かりにくいものです。実は画像の実体はピクセル数だけで、dpiは「そのピクセルを何センチで印刷するか」という指定にすぎません。この記事では、解像度・dpi・ピクセルの関係、用紙サイズから必要なピクセル数を出す計算、Web表示でdpiが関係ない理由をまとめます。

画像の実体はピクセル数、dpiは印刷時の指定

デジタル画像は、色の付いた点(ピクセル)が格子状に並んだものです。3000 × 2000 の画像なら、点が横に3000個、縦に2000個並んでいます。この数が画像の持つ情報量そのもので、あとから増やすことはできません。

dpi(dots per inch)は、その点を1インチ(25.4mm)あたり何個並べて印刷するかという指定です。同じ3000ピクセルの画像でも、300dpiなら10インチ幅、150dpiなら20インチ幅で印刷されます。つまりdpiを変えても画像データは変わらず、出力される紙の上の大きさが変わるだけです。

用語意味どこで効くか
ピクセル数(px)画像が持つ点の数。例:3000 × 2000画像の情報量そのもの。実体はこれだけ
dpi1インチあたりに印刷する点の数印刷時の大きさと精細さ
ppi1インチあたりの画素数。画面側で使う語ディスプレイの精細さ
画像解像度文脈により、ピクセル数を指すことも dpi を指すこともある会話の食い違いの原因になりやすい

印刷サイズから必要なピクセル数を求める

計算式はひとつだけです。必要なピクセル数 = 仕上がりの長さ(mm) ÷ 25.4 × dpi。1インチが25.4mmなので、mmをインチに直してからdpiを掛けます。インチとcmの行き来そのものはインチとcmの換算にまとめています。

  1. 1

    仕上がりサイズをmmで確認する

    A4なら210 × 297mm、名刺なら91 × 55mmです。紙いっぱいに印刷する場合は、裁ち落とし(塗り足し)として上下左右に3mmずつ加えるのが一般的です。

  2. 2

    必要なdpiを決める

    手に取って見る印刷物は300 - 350dpi、離れて見るポスターは150 - 200dpiが目安です。用途で決まるので、印刷所の指定があればそれに従ってください。

  3. 3

    式に当てはめる

    A4の横幅を350dpiで印刷するなら、210 ÷ 25.4 × 350 = 約2894ピクセルです。縦は 297 ÷ 25.4 × 350 = 約4093ピクセル。つまり2894 × 4093px以上の画像が必要になります。

  4. 4

    手元の画像のピクセル数と比べる

    画像のプロパティや編集ソフトで縦横のピクセル数を確認し、計算値を上回っていれば足ります。下回っていれば、拡大しても精細にはなりません。

仕上がりサイズ300dpiに必要なpx350dpiに必要なpx
A4210 × 297mm2480 × 35082894 × 4093
A3297 × 420mm3508 × 49614093 × 5787
B5182 × 257mm2150 × 30352508 × 3541
L判写真89 × 127mm1051 × 15001226 × 1750
名刺91 × 55mm1075 × 6501254 × 758
ハガキ100 × 148mm1181 × 17481378 × 2039

逆に、手元の画像で何センチまで印刷できるかを知りたいときは式を裏返します。ピクセル数 ÷ dpi × 25.4 = 印刷できる長さ(mm)です。たとえば2000万画素のカメラで撮った5472 × 3648pxの写真なら、300dpiで 5472 ÷ 300 × 25.4 = 約463mm。A3(420mm)を超えるので、A3までなら余裕があると分かります。

印刷物推奨dpi理由
写真・冊子・チラシ350dpi手に取って近くで見るため細部が分かる
一般的な家庭用プリンタ出力300dpi300を超えると差が分かりにくい
A1以上のポスター150 - 200dpi1m以上離れて見るため精細さより面積が優先
横断幕・のぼり50 - 100dpi数m離れて見るため。等倍データは巨大になりすぎる
線画・文字だけの原稿600 - 1200dpi線のギザつきが目立つため高い値が必要

Web表示にdpiは関係ない

「Web用は72dpi」という説明を見かけますが、これは古い時代の名残です。ブラウザは画像に埋め込まれたdpiの値を見ておらず、表示に使うのはピクセル数と、CSSで指定された表示サイズだけです。72dpiでも350dpiでも、同じピクセル数なら画面上の見え方は変わりません。

代わりにWebで効くのが、デバイスピクセル比です。スマートフォンや高精細ディスプレイでは、CSS上の1ピクセルを実際には2 - 3個の点で描いています。CSSで幅400pxと指定した場所に400pxの画像を置くと、2倍の環境ではぼやけて見えます。

  • 表示幅の2倍を用意する:CSSで400px幅なら、画像は800px幅で書き出します。3倍まで用意するのは、ロゴなど輪郭のはっきりした素材に限れば十分なことが多いです。
  • 大きすぎる画像をそのまま置かない:4000px幅の写真を400pxの枠に入れると、表示は同じでも読み込みは遅くなります。必要な大きさに縮小してから使います。
  • 写真は縮小+圧縮、図やロゴはSVGかPNG:写真をPNGのまま置くとファイルが重くなります。用途に合わせて形式を選び直すだけで、表示速度は目に見えて変わります。
  • 縮小はしても拡大はしない:ピクセル数を減らす方向は劣化が目立ちませんが、増やす方向は情報が増えないためぼやけます。

よくある失敗と対処

dpiまわりのトラブルは、原因を分けて考えると解決が早くなります。ピクセル数が足りないのか、指定が食い違っているだけなのかを最初に切り分けてください。

症状原因対処
印刷したら画像がぼやけた元のピクセル数が不足している撮り直すか、印刷サイズを小さくする。拡大では戻らない
350dpiで入稿と言われたが数値の変え方が分からないdpiは印刷時の指定なので、必要px数を満たしていれば足りることが多い仕上がりmmから必要pxを計算し、上回っていれば編集ソフトでdpi値だけ設定する
スクリーンショットを印刷すると粗い画面のピクセル数しかない元データから書き出す。画面キャプチャは印刷向きではない
ファイルが重すぎて入稿できない必要以上のdpiや、不要に大きいピクセル数推奨dpiまで下げる。ポスターに350dpiは通常不要
Webに上げたらぼやけて見えるデバイスピクセル比を考慮していない表示幅の2倍のピクセル数で書き出す
文字がにじむ文字を画像化して縮小している文字はテキストのまま扱うか、線画向けの高いdpiで書き出す

特に多いのが1行目です。ピクセル数が足りない画像は、編集ソフトでdpiの数値をいくら大きくしても精細にはなりません。ソフトが自動で拡大処理を行うことはありますが、これは足りない点を周囲の色から推測して埋めているだけで、元になかった情報が生まれるわけではないからです。必要なピクセル数を先に計算し、その条件を満たす素材を用意するのが唯一の近道です。必要なピクセル数が決まったあとの形式選びは、PNG・JPEG・WebPの違いを参考にしてください。

よくある質問

dpiと解像度は何が違いますか?
dpiは1インチあたりに印刷する点の数を表す、印刷時の指定です。一方で画像の実体は縦横のピクセル数で、こちらを解像度と呼ぶこともあります。同じ画像でもdpiの値を変えれば紙の上の大きさが変わりますが、画像が持つ情報量は変わりません。「解像度を上げて」と頼まれたら、ピクセル数を増やしたいのかdpi値を変えたいのか、仕上がりサイズをmmで確認するのが確実です。
A4サイズの印刷には何ピクセル必要ですか?
300dpiなら2480 × 3508px、350dpiなら約2894 × 4093pxが目安です。計算式は、仕上がりの長さ(mm) ÷ 25.4 × dpi です。A4は210 × 297mmなので、210 ÷ 25.4 × 350 = 約2894 となります。紙のふちまで印刷する場合は、上下左右に3mmずつの塗り足しを加えたサイズで計算してください。
72dpiの画像を350dpiにすれば印刷できますか?
元のピクセル数が足りていれば問題ありません。dpiは印刷時の指定なので、数値を書き換えるだけで印刷サイズが変わります。逆にピクセル数が不足している場合は、dpiの数値を上げても精細にはなりません。ソフトによる拡大は足りない点を推測して埋めているだけで、失われた情報は戻らないためです。まず仕上がりサイズから必要なピクセル数を計算して比べてください。
ポスターも350dpiで作るべきですか?
必要ありません。A1以上のポスターは1m以上離れて見るため、150 - 200dpiで十分です。350dpiで作るとピクセル数が膨大になり、ファイルが扱えないほど重くなります。逆に横断幕やのぼりなら50 - 100dpiでも実用に耐えます。見る距離が遠いほど必要なdpiは下がる、と覚えておくと判断しやすくなります。

この記事で紹介したツール

あわせて読みたい