仕組み解説公開日 読了目安 約7

軽減税率8%と10%の違い|イートインとテイクアウトの境目

同じおにぎりでも、レジで「店内で食べます」と答えた瞬間に税率が10%に変わります。軽減税率は「食べ物だから8%」という単純な線引きではなく、何を・どこで・どう提供されたかで決まります。この記事では、8%になる条件と、コンビニやファストフードで迷いやすいケースの判断基準を整理します。

軽減税率8%の対象は2つだけ

軽減税率が適用されるものは、法律上たった2種類しかありません。「飲食料品(酒類と外食を除く)」と「週2回以上発行される、定期購読契約の新聞」です。それ以外はすべて標準税率の10%です。生活必需品だから8%、という基準ではない点に注意してください。トイレットペーパーも電気代も水道水も、生活に欠かせませんが10%です。

区分税率具体例
飲食料品8%米・野菜・肉・パン・弁当・お菓子・ミネラルウォーター
酒類10%ビール・日本酒・みりん(アルコール1度以上)・料理酒
外食・ケータリング10%レストラン・フードコート・出張料理
定期購読の新聞8%週2回以上発行・購読契約があるもの
医薬品・医薬部外品10%風邪薬・指定医薬部外品の栄養ドリンク

8%と10%は、単に2%の差ではありません。内訳も別で、10%は国税7.8%+地方消費税2.2%、8%は国税6.24%+地方消費税1.76%です。軽減税率の8%は、2019年9月まで使われていた旧税率の8%(国税6.3%+地方1.7%)とも中身が違います。経理で税区分を選ぶときに「8%(軽)」と「8%(旧)」が並んでいるのはこのためです。

イートインとテイクアウトの分かれ目

外食が10%になるのは、「飲食設備のある場所で、飲食させるサービスとして提供されたか」で判定されるためです。売っているものが同じでも、テーブルや椅子を使って食べるなら、食品の販売ではなく飲食サービスの提供という扱いになります。判定の時点は、あくまで売った瞬間です。

  • 判定するのは提供時点。レジで「店内で食べる」と答えれば10%、持ち帰りと答えれば8%です。
  • 会計後に気が変わって店内で食べても、さかのぼって10%に直す必要はありません(店側が意思確認していることが前提)。
  • コンビニのイートインは、掲示で意思確認していれば、申し出がない限り8%として扱われます。
  • 出前・宅配ピザ・そばの出前は、届けるだけなので8%です。
  • ケータリング・出張料理は、その場で盛り付けや配膳をするため10%です。
  • 有料老人ホームの食事や学校給食は、外食に当たりますが例外的に8%です。

迷いやすい商品の早見表

「食べ物かどうか」ではなく「人の飲食用として売られているかどうか」で判断します。同じ見た目でも、用途が違えば税率が変わります。

商品税率判断の理由
みりん風調味料8%アルコール1度未満で酒類に当たらない
本みりん・料理酒10%酒類に該当する
ノンアルコールビール8%酒類ではなく清涼飲料水の扱い
ミネラルウォーター8%飲用として売られている
水道水10%生活用水を含み、飲食料品とはされない
食用の氷8%飲食用の氷は飲食料品
ドライアイス・保冷剤10%食べるものではない
栄養ドリンク(医薬部外品)10%医薬部外品は飲食料品から除かれる
栄養ドリンク(清涼飲料水)8%食品表示のあるものは飲食料品
ペットフード10%人の飲食用ではない
おもちゃ付きのお菓子条件次第税抜1万円以下かつ食品部分が価格の3分の2以上なら8%

包装材や容器も、通常必要なもの(弁当の容器、ラッピング)は中身と一体で8%ですが、重箱や桐箱のように、それ自体に価値があって繰り返し使えるものは分けて考えます。景品や食器がセットになった商品は、上の「一体資産」の条件で判定します。

8%と10%が混ざる会計の計算

  1. 1

    税率ごとに商品を分ける

    レシートでは軽減税率の対象品目に「※」や「*」の印が付きます。まず8%対象と10%対象に振り分け、それぞれの税抜(または税込)合計を出します。

  2. 2

    税率ごとに合計してから掛ける

    8%の合計に0.08、10%の合計に0.1を掛けます。商品1つずつ消費税を出して足すと、端数が積み重なって数円ずれます。

  3. 3

    端数処理は税率ごとに1回

    切り捨て・切り上げ・四捨五入のどれを使うかは売る側が決められますが、丸めるのは税率ごとに1回だけです。詳しくはインボイスの端数処理にまとめています。

  4. 4

    合計が一致するか確かめる

    8%分の税込+10%分の税込=支払額になっているかを見ます。合わないときは、税率の振り分けか端数処理のどちらかが違います。

消費税・サービス料計算ツールは10%と8%を切り替えて計算でき、端数処理も切り捨て・四捨五入・切り上げから選べます。税抜・税込のどちらから入力しても3つの金額が同時に出るので、レシートの内訳と突き合わせるときにそのまま使えます。8%対象と10%対象を1回ずつ計算して足せば、混在した会計もそのまま検算できます。

レシートで税率を確かめる

インボイス制度が始まってから、レシートには税率ごとに区分した合計額と消費税額を書くことが必要になりました。経費精算で税区分を入力するときは、自分で計算し直すより、レシートの区分をそのまま写すのが確実です。

  • 軽減税率の対象品目には「※」などの記号が付き、その意味が欄外に書かれています。
  • 「8%対象 ○○円(うち消費税△△円)」「10%対象 ○○円」の2行があるかを見ます。
  • この区分がないレシートは、適格請求書として不完全です。宛名の要否も含め、発行元に確認します。
  • イートインで受け取ったのに8%で打たれていた場合、店側の処理の問題なので、買った側が計算し直す必要はありません。

よくある質問

コンビニで買ったものを店内のイートインで食べると税率はどうなりますか?
会計の時点で「店内で食べる」と申し出た場合は10%、持ち帰ると答えた場合は8%です。多くの店ではレジ前やイートイン席に「店内で召し上がる場合はお申し出ください」という掲示があり、これが意思確認にあたります。申し出がなければ持ち帰りとして8%で処理され、会計後に気が変わって店内で食べたとしても、税率を修正する義務はありません。
出前やデリバリーは8%ですか、10%ですか?
8%です。出前や宅配は、調理した食品を届けるだけで、その場で配膳などのサービスを行わないため、飲食料品の販売として扱われます。一方、自宅やパーティー会場に出向いて盛り付けや給仕をするケータリング・出張料理は10%です。同じ「家で食べる」でも、届けて終わりか、その場で給仕まで行うかで分かれます。なお配達料を別に取る場合、その配達料は10%です。
軽減税率の8%と、昔の消費税8%は同じものですか?
税率の数字は同じですが、中身は違います。2019年9月までの旧8%は国税6.3%+地方消費税1.7%、軽減税率の8%は国税6.24%+地方消費税1.76%です。申告では別の区分として集計する必要があるため、会計ソフトでは「8%(軽減)」と「8%(旧税率)」が別々に用意されています。長期のリース契約など、経過措置で旧税率が残っている取引を扱うときに区別が必要になります。
レシートの合計と自分の計算が数円合わないのはなぜですか?
多くは端数処理のタイミングの違いです。商品ごとに消費税を計算して足すと、切り捨てが商品の数だけ起こり、税率ごとにまとめてから1回だけ丸めた金額と数円ずれます。インボイス制度では税率ごとに1回だけ丸めるルールなので、レシート側の金額が正です。何十円も差があるときは、8%対象と10%対象の振り分けが自分の想定と違っている可能性を先に疑ってください。

この記事で紹介したツール

あわせて読みたい