天の川の撮影設定|ISO・F値・シャッタースピードの目安
天の川を撮るときは、シャッタースピード・F値・ISO感度の3つを空の暗さとレンズに合わせて決めます。オートでは暗すぎたりピントが合わなかったりするので、マニュアルで設定するのが基本です。この記事では、レンズごとのシャッタースピードの目安、空の暗さ別のISO感度、撮影前に確認しておくカメラの設定と、撮影当日の手順をまとめます。
天の川撮影の基本設定
天の川は肉眼でもうっすら見える程度の明るさしかないため、レンズの絞りを開け、数秒〜十数秒の露出をかけ、ISO感度を高くして写します。星が流れない範囲でシャッターを開け、足りない明るさをISOで補うのが基本の考え方です。
| 項目 | 設定の目安 |
|---|---|
| 撮影モード | M(マニュアル) |
| F値 | レンズの開放(F1.4〜F2.8)。周辺が暗すぎたら1/3〜2/3段絞る |
| シャッタースピード | NPFルールの秒数(14mm F2.8なら約10秒) |
| ISO感度 | 暗い空で3200〜6400、郊外で1600〜3200 |
| ピント | MFで明るい星に合わせる(無限遠マークはあてにしない) |
| ホワイトバランス | 3800〜4200K前後で固定(オートは1枚ごとに色が変わる) |
| 画質 | RAW(あとで明るさ・色を大きく調整できる) |
シャッタースピードを先に決め、そのあとISO感度を決める順番にすると迷いません。F値は開放が基本ですが、開放で星が四隅で鳥の形のように崩れるレンズは、少し絞ると形が整います。
レンズ別のシャッタースピードの目安
天の川の中心(いて座、赤緯−29°)を写す場合の、星が点に写るシャッタースピードです。「カメラの設定」は、計算した秒数を超えない1/3段刻みの値です。
| レンズ(フルサイズ・2400万画素) | NPFルール | カメラの設定 | 500ルール |
|---|---|---|---|
| 14mm F2.8 | 10.6秒 | 10秒 | 40.8秒 |
| 14mm F1.8 | 9.3秒 | 8秒 | 40.8秒 |
| 20mm F2.8 | 7.5秒 | 6秒 | 28.5秒 |
| 24mm F2.8 | 6.2秒 | 6秒 | 23.8秒 |
| 35mm F2.8 | 4.3秒 | 4秒 | 16.3秒 |
NPFルールの秒数は等倍で見てもほぼ点に写る厳しめの目安です。SNSに載せるだけなら簡易NPF(14mm F2.8で約22秒)くらいまで延ばしても点に見えます。どちらの基準を使うかはNPFルールと500ルールの違いで詳しく解説しています。
空の暗さ別のISO感度の目安
同じシャッタースピードとF値でも、空が暗いほどISOを上げる必要があります。とても暗い空でF2.8・20秒・ISO3200を基準にして、F値と秒数の違いを明るさに換算した目安が次の表です。
| F値・秒数 | とても暗い空 | 郊外 | 月明かり |
|---|---|---|---|
| F1.4・5秒 | ISO3200 | ISO1600 | ISO800 |
| F1.8・8秒 | ISO3200 | ISO1600 | ISO800 |
| F2.8・10秒 | ISO6400 | ISO3200 | ISO1600 |
| F2.8・15秒 | ISO4000 | ISO2000 | ISO1000 |
| F2.8・20秒 | ISO3200 | ISO1600 | ISO800 |
| F4・10秒 | ISO12800 | ISO6400 | ISO3200 |
F1.8のレンズはF2.8より約1と1/3段明るいので、秒数を短くしてもISOを半分近くに抑えられます。星を点に写しつつノイズを減らしたいなら、明るい単焦点レンズがいちばん効きます。表の値は出発点で、実際には1枚撮ってヒストグラムの山が左端から少し離れる(真ん中より左寄り)くらいになるよう調整します。
APS-C・マイクロフォーサーズの設定例
センサーが小さいカメラは、同じ焦点距離でも写る範囲が狭く、画素も細かいため、星が点に写る秒数が短くなります。広角の明るいレンズを選ぶのがポイントです。
| カメラとレンズ | 換算焦点距離 | NPFルール | 設定例(暗い空) |
|---|---|---|---|
| APS-C 2600万画素・10mm F2.8 | 約15mm | 11.3秒 | 10秒・F2.8・ISO6400 |
| APS-C 2600万画素・16mm F1.4 | 約24mm | 5.4秒 | 5秒・F1.4・ISO3200 |
| キヤノンAPS-C 2400万画素・10mm F2.8 | 約16mm | 11.3秒 | 10秒・F2.8・ISO6400 |
| マイクロフォーサーズ 2000万画素・8mm F1.8 | 16mm | 11.0秒 | 10秒・F1.8・ISO2500 |
| マイクロフォーサーズ 2000万画素・12mm F1.4 | 24mm | 6.7秒 | 6秒・F1.4・ISO2500 |
いずれも天の川の中心を写す場合です。センサーが小さいカメラは高感度のノイズが目立ちやすいので、F1.4〜F1.8の明るいレンズでISOを抑えるか、同じ構図で複数枚撮って重ねる(加算平均でノイズを減らす)方法が有効です。
天の川が見やすい時期と条件
天の川のいちばん明るい部分(中心方向)はいて座のあたりにあり、日本では夏の南の空に見えます。6〜8月は夜の早い時間から見やすく、春(3〜5月)は明け方、9月は日没後の早い時間が狙い目です。冬にも天の川はありますが、中心から外れた淡い部分になります。
- 新月の前後数日を選ぶ。月が出ていると空が明るくなり、天の川が淡くなる
- 街の光が届かない場所を選ぶ。都市の方向の空は低いところから明るくなる
- 空気が乾いて透明度が高い日を選ぶ。湿度が高い日や黄砂の時期はコントラストが落ちる
- 暗さに目を慣らすため、到着してから15〜30分はライトを使わずに待つ
- 1
構図を決めて三脚に固定する
明るいうちに撮影地を下見し、前景と天の川の位置関係を決めておくと当日慌てません。
- 2
星にピントを合わせる
ライブビューで明るい星を最大に拡大し、いちばん小さく鋭く見える位置でフォーカスリングを止めます。前景も入れるなら星景写真のピント合わせの過焦点距離を使います。
- 3
秒数とISOを決めて試し撮りする
星空撮影 計算機で出した秒数とISOの目安で1枚撮り、拡大して星の形、ヒストグラムで明るさを確認します。
- 4
条件を変えて何枚か撮る
ISOを1段上下させたもの、秒数を少し延ばしたものも撮っておくと、帰ってから一番よい1枚を選べます。
よくある質問
- 天の川を撮るときのISO感度はいくつが目安ですか?
- とても暗い空で、F2.8・10秒ならISO6400、F2.8・20秒ならISO3200、F1.8・8秒ならISO3200前後が目安です。郊外ならそれぞれ半分、月明かりがあれば4分の1程度まで下げます。
- 天の川を撮るシャッタースピードは何秒ですか?
- 星を点に写すなら、フルサイズ2400万画素の14mm F2.8で約10秒、20mmで約6秒、24mmで約6秒です(NPFルール、天の川の中心方向)。SNSで見る程度なら14mmで20秒前後まで延ばしても点に見えます。
- キットレンズ(18-55mm F3.5-5.6)でも天の川は撮れますか?
- 撮れますが暗いレンズなので条件は厳しくなります。APS-C 2400万画素の18mm F3.5で天の川の方向なら、NPFルールで約7.2秒(カメラの設定では6秒)、暗い空でISO12800〜16000が必要です。一段明るく撮りたいなら、F2.8以下の広角単焦点レンズを検討してください。
- 天の川が写らない・薄いのはなぜですか?
- 多くは空の明るさか露出不足が原因です。月が出ている、街明かりの方向を向いている、天の川の中心がまだ昇っていない、ISOが低すぎる、といった点を確認してください。液晶を明るくしたまま見ると写っているように見えて、実は暗すぎることもあるので、ヒストグラムで確かめます。
- ホワイトバランスはオートでいいですか?
- RAWで撮るならあとから変えられますが、撮影時は3800〜4200K前後に固定しておくのがおすすめです。オートだと1枚ごとに色が変わり、複数枚を重ねたりタイムラプスにしたりするときに色がばらつきます。
この記事で紹介したツール
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