ネガティブスプリットのペース配分|前半何分・後半何分かの計算と組み方
マラソンの後半で失速しないための作戦として知られるのが、後半を前半より速く走る「ネガティブスプリット」です。ただ、「前半を抑える」といってもどのくらい抑えればよいのかは分かりにくいものです。この記事では、ネガティブスプリットとポジティブスプリットの違い、前半と後半の差を何%にすればよいか、サブ4で前半・後半それぞれ何分になるかの計算、ペースを少しずつ上げていくラップ表の組み方、初フルの人に向く配分までを、具体的な数字で解説します。
ネガティブスプリットとは|後半を前半より速く走る配分
ネガティブスプリットは、レースの後半を前半より速いタイムで走るペース配分のことです。後半のタイムから前半のタイムを引いた差がマイナスになるので「ネガティブ」と呼ばれます。反対に、後半が前半より遅くなる配分をポジティブスプリット、前半と後半が同じ配分をイーブンペースといいます。
| 配分 | 後半−前半 | 特徴 |
|---|---|---|
| ネガティブスプリット | マイナス(後半が速い) | 前半を抑えるので、後半に余力が残りやすい。トップ選手の記録更新でもよく見られる形 |
| イーブンペース | 0 | 最初から最後まで同じペース。計算上はもっとも効率がよい |
| ポジティブスプリット | プラス(後半が遅い) | 市民ランナーの多くが結果的にこうなる。前半の貯金が後半の失速で消える |
マラソンは、前半に速く走りすぎると体内の糖(グリコーゲン)を早く使い切り、30km以降に急に脚が動かなくなりやすい競技です。前半を少し抑えて余力を残すネガティブスプリットは、この失速を防ぐための考え方です。
前半と後半の差は何%?めやすは1〜2%
ネガティブスプリットといっても、後半を大きく上げる必要はありません。一般的に、前半と後半の差は全体のタイムの1〜2%程度で組みます。フルマラソンを4時間前後で走る人なら、1%で約2分24秒、2%で約4分48秒の差です。差を大きくしすぎると、前半が遅すぎて後半に取り返せなくなります。
| 配分(ネット 3:55:00) | 前半 | 後半 | スタート時のペース | ゴール前のペース |
|---|---|---|---|---|
| ネガティブ 2% | 1:59:51 | 1:55:09 | 5:48 | 5:21 |
| ネガティブ 1% | 1:58:41 | 1:56:19 | 5:41 | 5:27 |
| イーブン | 1:57:30 | 1:57:30 | 5:34 | 5:34 |
| ポジティブ 1% | 1:56:20 | 1:58:41 | 5:27 | 5:41 |
| ポジティブ 2% | 1:55:09 | 1:59:51 | 5:21 | 5:48 |
上の表は、腕時計のタイム3時間55分でゴールする計画を、配分だけ変えて比べたものです。ネガティブ1%でも前半と後半の差は2分22秒あり、ペースはスタート直後のキロ5分41秒からゴール前のキロ5分27秒まで、少しずつ上がっていきます。
前半・後半のタイムの計算方法
前半と後半のタイムは、目標タイムと配分の%から次のように計算できます。差を半分ずつ前半に足し、後半から引くと考えるとわかりやすくなります。
前半と後半で2つのペースに分ける方法もありますが、中間地点で急にペースを上げると体への負担が大きくなります。マラソン ペースバンド メーカーでは、ペースが距離に比例して少しずつ変わるように配っています。後半−前半の差をd秒、給水を除いた走りの時間をTとすると、地点xのペースは「平均ペース×(1+4d÷T×(x÷距離−0.5))」倍です。中間地点でちょうど平均ペースになり、スタートとゴールで最も差が開きます。
| 区間(サブ4・ネガティブ1%) | 通過タイム | 区間ペース |
|---|---|---|
| 0〜5km | 28:56 | 5:47 |
| 5〜10km | 57:45 | 5:46 |
| 10〜15km | 1:26:25 | 5:44 |
| 15〜20km | 1:54:57 | 5:42 |
| 20〜25km | 2:23:21 | 5:41 |
| 25〜30km | 2:51:37 | 5:39 |
| 30〜35km | 3:19:44 | 5:38 |
| 35〜40km | 3:47:44 | 5:36 |
| 40km〜ゴール | 3:59:59 | 5:35 |
5kmごとに1〜2秒ずつ上げていくだけなので、走っている本人の感覚では「ほぼ同じペース」です。それでも前半の通過タイムはイーブンより約1分遅くなり、後半に脚を残せます。
どの配分を選ぶか|初フルと記録狙いの考え方
- 初めてのフルマラソン:ネガティブ1〜2%。前半を抑えて、30km以降に歩かないことを最優先にする
- 自己ベスト更新を狙う:ネガティブ1%かイーブン。30km走などで後半も同じペースを保てることを確かめておく
- 毎回30km以降に大きく失速する:計画上はポジティブ2〜4%にして、前半の貯金を現実的に見込んでおく方法もある
- 坂の多いコース:上りで遅れ、下りで取り返すので、5kmごとの区間ペースのずれは大きめに見ておく
ポジティブスプリットの計画は「失速を前提にする」ので消極的に見えますが、実際に毎回後半が落ちる人にとっては、ペースバンドの数字と現実のずれが小さくなり、後半に慌てずに済むという利点があります。ただし前半を速く入るぶん、失速がさらに大きくなる危険もあります。
よくある質問
- ネガティブスプリットとは何ですか?
- レースの後半を前半より速く走るペース配分です。後半のタイム−前半のタイムがマイナスになるので、ネガティブと呼ばれます。前半を抑えて後半に余力を残せるので、マラソンの30km以降の失速を防ぎやすくなります。
- ネガティブスプリットは前半と後半で何分差をつければいいですか?
- 全体のタイムの1〜2%がめやすです。4時間前後のランナーなら1%で約2分24秒、2%で約4分48秒です。差を大きくしすぎると、前半が遅すぎて後半に取り返せなくなります。
- サブ4をネガティブスプリットで走るときの前半のタイムは?
- ネガティブ1%なら、前半約2時間1分11秒、後半約1時間58分48秒です。ペースはスタート直後のキロ5分48秒前後から、ゴール前のキロ5分34秒前後まで、少しずつ上げていきます。
- ポジティブスプリットは悪い走り方ですか?
- 必ずしも悪いわけではありません。後半に落ちることを見込んで計画に入れておけば、ペースバンドとのずれが小さくなります。ただ、前半に速く入りすぎると失速が大きくなるので、差は2〜4%にとどめるのが無難です。
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