仕組み解説公開日 読了目安 約10分

露点温度の計算方法|室温と湿度から求める式・Excelの数式・早見表

「露点温度」は、窓の結露、押し入れのカビ、塗装や現場の結露管理、精密機器の保管まで、湿気の困りごとを数字で考えるときの出発点です。ところが調べると「Magnus 式」「飽和水蒸気圧」と難しそうな言葉が並び、どの式を使えばいいのか迷いがちです。この記事では、露点温度の意味から、手計算と Excel で求める手順、暗算で使える簡易式とその誤差、室温・湿度別の早見表、絶対湿度と飽和水蒸気量の関係、0℃ 未満で使う霜点までを、具体的な数字でまとめます。

露点温度とは「空気が冷えて湿度 100% になる温度」

空気に含まれている水蒸気の量はそのままで、温度だけを下げていくと、ある温度で空気がそれ以上水蒸気を抱えきれなくなり、あふれた分が水滴になります。この温度が露点温度(露点)です。室温 20℃・湿度 60% の空気なら、露点温度は 12.0℃。この空気が 12.0℃ より冷たい窓ガラスや壁、冷えたグラスにふれると、表面に水滴がつきます。

大事なのは、露点温度は「空気に含まれている水蒸気の量」だけで決まるという点です。同じ部屋の空気なら、暖房で室温を上げても下げても、水蒸気を足したり抜いたりしない限り露点温度は変わりません。湿度計の % は温度で変わってしまいますが、露点温度は変わらないので、場所や時間をまたいで湿気の多さを比べるときに便利な物差しになります。

  • 露点温度が高い = 空気中の水蒸気が多い(少し冷えただけで結露する)
  • 露点温度が低い = 空気が乾いている(かなり冷えないと結露しない)
  • 室温と露点温度の差が小さい = 相対湿度が高い(差がゼロなら湿度 100%)
  • 面の温度 < 露点温度 = その面で結露する

露点温度の計算手順(Magnus 式)

露点温度は、①その温度で空気が含める水蒸気の最大量(飽和水蒸気圧)を出し、②湿度を掛けていま含まれている水蒸気の量(水蒸気圧)を出し、③その水蒸気圧がちょうど飽和になる温度を逆算する、という 3 段階で求めます。飽和水蒸気圧の式にはいくつか種類がありますが、日常の温度域では Magnus 式(Magnus–Tetens 式)が簡単で精度も十分です。

  1. 1

    飽和水蒸気圧 e_s を求める

    e_s = 6.112 × exp(17.62 × T ÷ (243.12 + T)) [hPa]。T は室温(℃)です。20℃ なら 6.112 × exp(352.4 ÷ 263.12) ≒ 23.3 hPa になります。

  2. 2

    水蒸気圧 e を求める

    e = e_s × 湿度(%) ÷ 100。20℃・湿度 50% なら 23.3 × 0.5 ≒ 11.7 hPa です。これが、いまの空気に含まれている水蒸気の量を圧力で表したものです。

  3. 3

    g = ln(e ÷ 6.112) を求める

    ln は自然対数です。11.7 ÷ 6.112 ≒ 1.91 なので、g ≒ 0.646 になります。

  4. 4

    露点温度 Td を求める

    Td = 243.12 × g ÷ (17.62 − g)。243.12 × 0.646 ÷ (17.62 − 0.646) ≒ 9.3℃ が、室温 20℃・湿度 50% の露点温度です。

係数の 17.62 と 243.12 は、水面(液体の水)に対する値です。教科書によっては 17.27 と 237.7、17.625 と 243.04 を使うものもありますが、−20〜50℃ くらいの範囲ではどれを使っても答えの差は 0.1℃ 前後で、結露を考えるうえでは問題になりません。

Excel・スプレッドシートで露点温度を出す数式

温湿度ロガーのデータなど、たくさんの行の露点温度をまとめて出したいときは、表計算ソフトに式を入れるのが早道です。A 列に室温(℃)、B 列に湿度(%)が入っているとして、C2 セルに次の式を入れ、下の行へコピーします。Excel でも Google スプレッドシートでも同じ式で動きます。

  • 露点温度(℃):=243.12*(LN(B2/100)+17.62*A2/(243.12+A2))/(17.62-(LN(B2/100)+17.62*A2/(243.12+A2)))
  • 絶対湿度(g/m³):=216.7*(6.112*EXP(17.62*A2/(243.12+A2))*B2/100)/(273.15+A2)
  • 飽和水蒸気量(g/m³):=216.7*6.112*EXP(17.62*A2/(243.12+A2))/(273.15+A2)

露点温度の式は、手順の ③④ をまとめたものです。ln(湿度 ÷ 100) + 17.62T ÷ (243.12 + T) が上の手順の g と同じ値になるので、飽和水蒸気圧を別の列に出さなくても 1 つのセルで計算できます。湿度が 0% のセルがあると LN が計算できずエラーになるので、ロガーの欠測値は空欄にしておきましょう。

暗算用の簡易式「室温 −(100 − 湿度)÷ 5」と誤差

その場でざっくり知りたいときは、「露点温度 ≒ 室温 −(100 − 湿度)÷ 5」という簡易式が便利です。20℃・60% なら 20 − 40 ÷ 5 = 12℃ で、Magnus 式の 12.0℃ とぴったり合います。ただし、この式は湿度が高いときほど正確で、乾いた空気では外れが大きくなります。

室温・湿度Magnus 式簡易式差
20℃・80%16.4℃16.0℃−0.4℃
20℃・70%14.4℃14.0℃−0.4℃
20℃・60%12.0℃12.0℃0℃
25℃・60%16.7℃17.0℃+0.3℃
20℃・50%9.3℃10.0℃+0.7℃
20℃・40%6.0℃8.0℃+2.0℃

湿度 50% 以上なら誤差は 1℃ 以内に収まりますが、冬の暖房した部屋のように 40% を下回ると 2℃ 以上ずれます。簡易式は「露点を高めに見積もる」方向に外れるので、結露の心配を大きめに見る分には安全側ですが、窓の結露判定のように数℃ の差で結果が変わる計算には、Magnus 式かツールを使うのがおすすめです。

室温・湿度別の露点温度の早見表

下の表は、Magnus 式で計算した露点温度です。縦が室温、横が湿度で、交わったところの温度より冷たい面があると結露します。マイナスの値は計算上の露点(水面)で、実際には少し高い温度の霜点で霜がつきはじめます。

室温\湿度30%40%50%60%70%80%
10℃−6.8℃−3.0℃0.0℃2.6℃4.8℃6.7℃
15℃−2.5℃1.5℃4.7℃7.3℃9.6℃11.6℃
18℃0.1℃4.2℃7.4℃10.1℃12.4℃14.5℃
20℃1.9℃6.0℃9.3℃12.0℃14.4℃16.4℃
22℃3.6℃7.8℃11.1℃13.9℃16.3℃18.4℃
24℃5.3℃9.6℃12.9℃15.8℃18.2℃20.3℃
26℃7.1℃11.4℃14.8℃17.6℃20.1℃22.3℃
28℃8.8℃13.1℃16.6℃19.5℃22.0℃24.2℃
30℃10.5℃14.9℃18.4℃21.4℃23.9℃26.2℃

夏の表の読み方の例です。室温 26℃・湿度 70% の部屋の露点温度は 20.1℃ なので、冷房の吹き出し口や冷えた配管、冷蔵庫から出したペットボトル(5℃ 前後)には確実に水滴がつきます。冬なら、室温 20℃・湿度 50% の露点 9.3℃ に対して、外気温 0℃ の朝の 1 枚ガラスは表面が 7℃ 前後まで冷えるので結露します。窓の表面温度の出し方は結露しない湿度の目安で詳しく解説しています。

絶対湿度・飽和水蒸気量との関係

ふだん「湿度」と呼んでいるのは相対湿度で、「その温度で空気が含める最大量(飽和水蒸気量)のうち何 % を含んでいるか」という割合です。これに対して、空気 1m³ に実際に何 g の水蒸気が含まれているかを表すのが絶対湿度(容積絶対湿度)です。絶対湿度は「216.7 × 水蒸気圧(hPa) ÷ (273.15 + 室温)」で求められます。

温度飽和水蒸気量飽和水蒸気圧
−10℃2.4 g/m³2.9 hPa
−5℃3.4 g/m³4.2 hPa
0℃4.8 g/m³6.1 hPa
5℃6.8 g/m³8.7 hPa
10℃9.4 g/m³12.3 hPa
15℃12.8 g/m³17.0 hPa
20℃17.2 g/m³23.3 hPa
25℃23.0 g/m³31.6 hPa
30℃30.3 g/m³42.3 hPa
35℃39.5 g/m³56.1 hPa

20℃ の空気は 1m³ あたり最大 17.2g の水蒸気を含めるので、湿度 50% ならおよそ 8.6 g/m³ です。この空気が冷えて、飽和水蒸気量が 8.6g になる温度、つまり露点の 9.3℃ を下回ると、あふれた水蒸気が水滴になります。中学理科で習う「飽和水蒸気量の表から露点を読む」方法は、この関係を表で逆引きしているわけです。

  • 6 畳・天井高 2.4m(約 23m³)の部屋の空気に含まれる水は、20℃・50% で約 200g、40% で約 160g。コップ 1 杯分ほどしかない
  • 飽和水蒸気量は 10℃ 上がるごとにおよそ 2 倍になる(10℃ で 9.4g、20℃ で 17.2g、30℃ で 30.3g)
  • 空調や工場では、乾いた空気 1kg あたりの g 数(重量絶対湿度・混合比 g/kg)を使うことも多い。20℃・50% で約 7.2 g/kg

0℃ 未満では「霜点」を使う

露点温度が 0℃ を下回るほど乾いた空気では、冷えた面には水滴ではなく霜(氷)がつきます。氷の表面は水面より水蒸気を引きつけやすいので、霜がつきはじめる温度(霜点)は露点よりも少し高くなります。氷面の飽和水蒸気圧は、係数を 22.46 と 272.62 に替えた Magnus 式で計算します。

温度・湿度露点(水面)霜点(氷面)
20℃・20%−3.7℃−3.2℃
20℃・15%−7.5℃−6.6℃
10℃・30%−6.8℃−6.0℃
0℃・80%−3.0℃−2.7℃

差は 1℃ 未満ですが、寒冷地の窓やサッシ、冷凍庫まわり、冬の屋外機器の着霜を考えるときは、霜点で判定したほうが実際に近くなります。結露・露点温度 計算ツールでは、面の温度が 0℃ を下回るときは自動で氷面の式で比べています。

露点温度がわかったら次に調べたいこと

よくある質問

室温 20℃・湿度 50% の露点温度は何度ですか?
約 9.3℃ です。室温より 10.7℃ 冷たい面があると結露がはじまります。湿度 60% なら 12.0℃、40% なら 6.0℃ です。
露点温度を簡単に計算する方法はありますか?
「室温 −(100 − 湿度)÷ 5」で概算できます。湿度 50% 以上なら誤差は 1℃ 以内ですが、40% 以下では 2℃ 以上ずれるので、正確に知りたいときは Magnus 式か計算ツールを使ってください。
Excel で露点温度を求める式は?
A 列に室温、B 列に湿度(%)があるとき、=243.12*(LN(B2/100)+17.62*A2/(243.12+A2))/(17.62-(LN(B2/100)+17.62*A2/(243.12+A2))) で求められます。20℃・50% で 9.3 になれば正しく入力できています。
露点温度と霜点の違いは何ですか?
露点は水滴(液体の水)がつきはじめる温度、霜点は霜(氷)がつきはじめる温度です。0℃ 未満の面では霜点で判定し、霜点は露点より 1℃ 弱高くなります。
暖房で室温を上げると露点温度は変わりますか?
水蒸気を足したり抜いたりしない限り変わりません。室温が上がると相対湿度(%)は下がりますが、空気に含まれる水蒸気の量は同じなので、結露がはじまる面の温度も同じです。

この記事で紹介したツール

あわせて読みたい

仕組み解説約11分

結露しない湿度は何%?|窓ガラス・サッシの種類と外気温別の上限早見表

冬の朝、窓がびっしょり濡れているのを見ると「湿度を下げなきゃ」と思いますが、では何 % まで下げればいいのかと聞かれると答えに詰まります。実は「結露しない湿度」は 1 つの数字ではなく、窓の断熱性能と外気温、室温、窓のどこを見るかで大きく変わります。1 枚ガラスなら 40% でも結露する朝がある一方、Low-E ペアガラスなら 70% でも平気なこともあります。この記事では、窓の表面温度の考え方から、ガラス・サッシの種類と外気温ごとの「結露しない湿度の上限」、外気温が何℃ を下回ると結露しはじめるか、加湿との折り合いのつけ方までを数字でまとめます。

記事を読む →
仕組み解説約10分

押し入れ・クローゼットの結露とカビ対策|湿度が上がる仕組みと場所別の目安

冬に押し入れの布団がしっとりしている、クローゼットの奥の服にカビが生えた、北側の部屋の壁紙に黒い点が出てきた。こうした困りごとは、窓の結露と同じ仕組みで起きています。暖房した部屋の暖かく湿った空気が、冷えた押し入れや北側の部屋に入り込むと、水蒸気の量は同じでも湿度が一気に上がるのです。この記事では、温度が下がると湿度が上がる仕組みを数字で確かめたうえで、押し入れ・クローゼット・北側の部屋・家具の裏など場所ごとの湿度の目安、カビ・ダニが増えやすい湿度、効く順番の対策までをまとめます。

記事を読む →
仕組み解説約7分

暖房器具の電気代比較|こたつ・電気毛布・ヒーター・エアコン

冬の電気代は、どの暖房器具を選ぶかで何倍も変わります。この記事では、エアコン・こたつ・電気毛布・ホットカーペット・オイルヒーター・セラミックファンヒーターの電気代を1時間・1か月・ひと冬で比べ、ワット数の大きいヒーターがなぜ割高なのかを説明します。

記事を読む →