スロープ1/12の長さは?|段差別の早見表と勾配の基準
玄関や勝手口の段差に車いす用のスロープを付けたいとき、まず知りたいのは「どれくらいの長さが要るか」です。この記事では、1/12 や 1/15 の勾配から長さを出す計算、段差5cm〜1mの長さの早見表、バリアフリー法と建築基準法の勾配・幅・踊り場の基準、家庭で選ぶときの目安、介護保険の住宅改修まで順にまとめます。
スロープの長さは「段差の高さ×n」
1/12 は「水平に12進んで1上がる」勾配です。そのため、段差を上りきるのに要る水平の長さは、段差の高さを12倍するだけで出せます。高さ10cmの段差なら120cm、20cmなら240cm、45cmなら540cmです。1/15 なら15倍、1/20 なら20倍になります。
この長さは床に沿った水平の長さです。板そのものの長さ(斜面の長さ)はわずかに長くなりますが、1/12 では水平の長さの約1.0035倍で、2.4mのスロープでも1cmも違いません。設置場所の奥行きと比べるときは、水平の長さで考えて差し支えありません。
段差の高さ別・スロープの長さの早見表
よくある段差の高さごとに、勾配別の水平の長さをまとめました。1/8 は高さ16cm以下の短いスロープにだけ認められる勾配で、1/12 が建物の義務基準、1/15 が屋外の誘導基準です。
| 段差の高さ | 1/8(約7.1°) | 1/12(約4.8°) | 1/15(約3.8°) | 1/20(約2.9°) |
|---|---|---|---|---|
| 5cm | 40cm | 60cm | 75cm | 1.0m |
| 10cm | 80cm | 1.2m | 1.5m | 2.0m |
| 15cm | 1.2m | 1.8m | 2.25m | 3.0m |
| 16cm | 1.28m | 1.92m | 2.4m | 3.2m |
| 20cm | (不可)1.6m | 2.4m | 3.0m | 4.0m |
| 30cm | (不可)2.4m | 3.6m | 4.5m | 6.0m |
| 45cm | (不可)3.6m | 5.4m | 6.75m | 9.0m |
| 60cm | (不可)4.8m | 7.2m | 9.0m | 12.0m |
| 75cm | (不可)6.0m | 9.0m | 11.25m | 15.0m |
| 100cm | (不可)8.0m | 12.0m+踊り場1か所 | 15.0m+踊り場1か所 | 20.0m+踊り場1か所 |
(不可)は、バリアフリー法の基準では高さ16cmを超える段差に 1/8 が使えないことを示しています。高さ75cmを超えるスロープは、75cm以内ごとに踏幅150cm以上の踊り場が要るため、高さ1mを 1/12 で上るなら、水平の長さ12mに踊り場1.5mを足した13.5mが必要です。
バリアフリー法・建築基準法のスロープの基準
店舗や公共施設などのスロープ(傾斜路)は、バリアフリー法の建築物移動等円滑化基準(守らなければならない義務基準)と、誘導基準(よりよい水準として目指す基準)に沿って設計されます。主な数値は次のとおりです。
| 項目 | 義務基準 | 誘導基準 |
|---|---|---|
| 勾配 | 1/12以下(高さ16cm以下なら1/8以下) | 屋内1/12以下、屋外1/15以下 |
| 幅 | 120cm以上(階段を併設するなら90cm以上) | 150cm以上(階段を併設するなら120cm以上) |
| 踊り場 | 高さ75cmを超えるとき、75cm以内ごとに踏幅150cm以上 | 同じ |
| 手すり | 勾配1/12を超える部分、または高さ16cmを超え勾配1/20を超える部分に設ける | 両側に設ける |
これとは別に、建築基準法施行令では、階段に代わる傾斜路の勾配を1/8以下とし、表面を粗面または滑りにくい材料で仕上げることを求めています。住宅の玄関に置く簡易スロープは、これらの基準がそのまま当てはまるわけではありませんが、安全な勾配を考える物差しとして役に立ちます。自治体によっては条例で基準を上乗せしているので、店舗や共同住宅の工事では地域の条例も確かめてください。
家庭でスロープを選ぶときの目安
- 車いすを自分でこぐ(自走):1/12〜1/15 より緩いもの。腕の力に不安があれば 1/20 を目指します。
- 介助者が押す:1/8〜1/10 程度の簡易スロープがよく選ばれます。下りでは車いすを後ろ向きにして、ゆっくり下ろします。
- 電動車いす・シニアカー:機種ごとに上れる角度(登坂角度)が決まっているので、取扱説明書の数値を超えないようにします。
- ベビーカー・台車・自転車:1/8 程度でも使えることが多いものの、重い荷物を載せるなら緩いほど楽です。
置き場所の奥行きが足りないときは、スロープを途中で折り返す、段差の一部を踏み台やかさ上げで減らしてから短いスロープを組み合わせる、段差解消機(昇降機)を使う、といった方法があります。スロープの上下には、車いすが止まって向きを変えられる平らなスペース(目安として150cm角)を残すと、扉の開け閉めも楽になります。
介護保険で使えるスロープ
要支援・要介護の認定を受けている人は、介護保険でスロープを用意できる場合があります。工事を伴うかどうかで、使える制度が変わります。
| 種類 | 使える制度 | ポイント |
|---|---|---|
| 工事で固定するスロープ・段差の解消 | 住宅改修 | 支給限度額は1人20万円まで(自己負担は所得に応じて1〜3割)。工事の前に市区町村への申請が必要 |
| 置くだけのスロープ | 福祉用具貸与(レンタル) | 工事不要で、体の状態が変われば交換しやすい。一部は購入を選べる場合もある |
どちらもケアマネジャーに相談するのが第一歩です。住宅改修は工事の後から申請しても支給されないことがあるので、業者と契約する前に手続きを確かめてください。
段差の高さからスロープの長さを計算する
勾配・角度計(スマホ水平器)の「高さ・長さ・スロープ」タブで段差の高さを選ぶか入力すると、1/8・1/12・1/15・1/20 のそれぞれについて、角度・水平の長さ・踊り場の数・踊り場を含めた全体の長さを一覧で表示します。すでにあるスロープの勾配は、スマホの長い辺をスロープの上る向きに沿わせて置けば、角度と 1/n で測れます。
% や角度での比べ方は勾配の%と角度の換算、スマホでの測り方とずれの補正は床の傾きをスマホで測る方法で解説しています。
よくある質問
- 高さ10cmの段差に 1/12 のスロープを付けると長さは何cmですか?
- 水平の長さで120cmです。1/12 は高さの12倍の長さが要るので、10×12=120cm になります。1/15 なら150cm、1/20 なら200cmです。
- スロープの勾配 1/12 は何度ですか?
- 約4.76°で、%にすると約8.33%です。1/15 は約3.81°(約6.67%)、1/8 は約7.13°(12.5%)です。
- 踊り場はどのくらいの間隔で必要ですか?
- バリアフリー法の基準では、高さ75cmを超えるスロープに、高さ75cm以内ごとに踏幅150cm以上の踊り場を設けます。高さ1mを 1/12 で上るなら、途中に1か所の踊り場が要ります。
- 家庭用の簡易スロープは何分の1を選べばよいですか?
- 車いすを自分でこぐなら 1/12〜1/15 より緩いもの、介助者が押すなら 1/8〜1/10 程度がよく選ばれます。置ける長さの範囲で、できるだけ緩いものを選ぶのが安全です。
- スロープの設置に介護保険は使えますか?
- 要支援・要介護の認定を受けていれば、工事を伴うスロープは住宅改修(支給限度額20万円)、置くだけのスロープは福祉用具貸与の対象になることがあります。工事の前にケアマネジャーと市区町村に相談してください。
この記事で紹介したツール
あわせて読みたい
床の傾きをスマホで測る方法|6/1000は何度?判断の目安
ビー玉が転がる、ドアが勝手に閉まる、なんとなく気分が悪い。家の床の傾きが気になったとき、まず手元のスマホで測ってみたくなります。この記事では、床の傾きの判断に使われる 3/1000・6/1000 の意味と角度、スマホ水平器の精度と限界、ずれを打ち消す反転法の手順、ビー玉や水盛りなどほかの測り方、傾きが大きかったときの相談先をまとめます。
記事を読む →寸勾配は何度?|3寸・4寸・5寸勾配の角度と伸び率の早見表
屋根の見積もりや図面で「4寸勾配」「5/10」と書かれていても、それが何度なのか、どれくらい急なのかはすぐにはわかりません。この記事では、寸勾配の意味と角度への直し方、1寸〜12寸の角度・%・伸び率・隅の伸び率の早見表、屋根材ごとに必要な勾配の目安、伸び率を使った屋根面積や垂木の長さの出し方をまとめます。
記事を読む →勾配の%と角度の換算|10%は何度?計算式と早見表
坂道の標識の「10%」、スロープの「1/12」、屋根の「4寸」、床の「6/1000」。勾配は場面によって書き方がばらばらで、比べようとすると戸惑います。この記事では、勾配の5つの表し方の関係、% と角度を換算する式、%・1/n・千分率・角度の早見表、道路や鉄道で使われる勾配の目安、Excel や関数電卓での計算方法をまとめます。
記事を読む →