影の長さの求め方|高さ÷tan(太陽高度)と冬至・夏至の時間別早見表
「冬至の昼に2階建ての家の影はどこまで伸びる?」「朝9時の電柱の影は何m?」。影の長さは、物の高さと太陽の高度さえわかれば、1行の式で計算できます。この記事では、影の長さの計算式と角度ごとの倍率の表、東京の冬至・春分・夏至の時間別の影の長さ、影が伸びる向き、影から木や建物の高さを測る逆算の方法、計算と実際の影がずれる理由をまとめます。
影の長さの計算式
平らな地面にまっすぐ立つ物の影は、物の高さ・影の長さ・太陽の光の筋で直角三角形を作ります。太陽の高度(地平線からの角度)を θ とすると、高さ ÷ 影の長さ = tan θ なので、影の長さは次の式で求められます。
式の中で 1 ÷ tan θ の部分を「影の倍率」と考えると便利です。倍率がわかれば、どんな高さの物でも「高さ × 倍率」で影の長さが出ます。角度ごとの倍率は次のとおりです。
| 太陽の高度 | 影の倍率 | 高さ1.7mの人 | 高さ7mの家 | 目安の場面(東京) |
|---|---|---|---|---|
| 5° | 11.43倍 | 19.4m | 80.0m | 冬の日の出・日の入りの30分ほど後・前 |
| 10° | 5.67倍 | 9.6m | 39.7m | 春分の17時ごろ |
| 15° | 3.73倍 | 6.3m | 26.1m | 冬至の15時ごろ |
| 20° | 2.75倍 | 4.7m | 19.2m | 冬至の9時ごろ |
| 30° | 1.73倍 | 2.9m | 12.1m | 冬至の正午ごろ |
| 45° | 1.00倍 | 1.7m | 7.0m | 影と高さが同じ |
| 54° | 0.73倍 | 1.2m | 5.1m | 春分・秋分の正午ごろ |
| 60° | 0.58倍 | 1.0m | 4.0m | 4月上旬の正午ごろ |
| 78° | 0.21倍 | 0.4m | 1.5m | 夏至の正午ごろ |
太陽の高度が 45° のとき、影は物の高さとちょうど同じ長さになります。45° より低いと影は高さより長く、高いと短くなります。そして高度が低くなるほど倍率は急に大きくなり、20° で 2.75 倍、10° で 5.67 倍、5° で 11 倍を超えます。朝夕に影がどこまでも伸びて見えるのはこのためです。
東京の冬至の時間別の影の長さ
影がいちばん長くなるのは、太陽がいちばん低い冬至のころです。太陽の位置・影の長さ計算で、2026年12月22日(冬至)の東京の各時刻の太陽高度と影の長さを出しました。
| 時刻 | 太陽高度 | 影の向き | 倍率 | 人(1.7m) | 2階建て(7m) | 3階建て(10m) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 8時 | 11.4° | 北西 | 4.95倍 | 8.4m | 34.7m | 49.5m |
| 9時 | 19.9° | 北西 | 2.76倍 | 4.7m | 19.3m | 27.6m |
| 10時 | 26.4° | 北北西 | 2.02倍 | 3.4m | 14.1m | 20.2m |
| 11時 | 30.2° | 北 | 1.72倍 | 2.9m | 12.0m | 17.2m |
| 12時 | 30.7° | 北 | 1.68倍 | 2.9m | 11.8m | 16.8m |
| 13時 | 27.9° | 北北東 | 1.89倍 | 3.2m | 13.2m | 18.9m |
| 14時 | 22.2° | 北東 | 2.45倍 | 4.2m | 17.1m | 24.5m |
| 15時 | 14.3° | 北東 | 3.92倍 | 6.7m | 27.4m | 39.2m |
| 16時 | 4.9° | 東北東 | 11.73倍 | 20.0m | 82.1m | 117.3m |
冬至の東京では、影がいちばん短くなる南中(11時40分、高度 30.9°)でも、影は高さの約 1.67 倍あります。高さ 7m の2階建ての家なら、昼でも北側に約 11.7m の影が落ちます。午前9時や午後3時になると影は 2.8〜3.9 倍に伸び、家の影は 20m 前後から 27m を超えます。
春分・夏至と比べると影はどれくらい違うか
同じ時刻でも、季節が変わると影の長さはまったく違います。東京の高さ 1m あたりの影の倍率を、冬至・春分・夏至で並べました(2026年の値)。
| 時刻 | 冬至(12/22) | 春分(3/20) | 夏至(6/21) |
|---|---|---|---|
| 8時 | 4.95倍 | 2.05倍 | 1.16倍 |
| 9時 | 2.76倍 | 1.34倍 | 0.76倍 |
| 10時 | 2.02倍 | 0.96倍 | 0.47倍 |
| 12時 | 1.68倍 | 0.73倍 | 0.23倍 |
| 14時 | 2.45倍 | 1.07倍 | 0.62倍 |
| 15時 | 3.92倍 | 1.54倍 | 0.97倍 |
| 16時 | 11.73倍 | 2.51倍 | 1.49倍 |
正午の影は、冬至が夏至の約 7 倍です。身長 170cm の人なら、夏至の正午の影は 40cm ほどしかないのに、冬至の正午には 2.9m になります。月ごとの南中高度の変わり方は南中高度の求め方に表でまとめています。
影が伸びる向き
影は太陽のちょうど反対側へ伸びます。太陽の方位に 180° を足した方角が影の向きです。日本では太陽が南の空を通るので、影はおおむね北側に落ちますが、時刻と季節で向きは大きく変わります。
- 朝:太陽が東〜南東にあるので、影は西〜北西へ伸びる
- 昼(南中):太陽が真南にあるので、影は真北へ伸びる
- 夕方:太陽が南西〜西にあるので、影は北東〜東へ伸びる
- 夏の朝夕:太陽が真東より北から昇り、真西より北へ沈むため、朝7時ごろの影はほぼ真西、夕方5時ごろの影は東南東と、建物の南側にも影が落ちる
- 冬:太陽が真東より南から昇るため、朝夕でも影は北寄り。北側の隣地に1日じゅう影がかかりやすい
建物の北側にある庭や隣の家に影がかかるかどうかは、影の長さと向きの両方で決まります。太陽の位置・影の長さ計算では、横から見た影の長さの図と、真上から見た影の向きの図を並べて表示するので、時刻のスライダーを動かしながら影の動きを確かめられます。
影から木や建物の高さを測る方法
影の長さの式を反対に使うと、手が届かない木や建物の高さを影から求められます。方法は2つあります。
- 1
方法1:太陽の高度を使う
影の長さを巻き尺で測り、その時刻の太陽の高度を太陽の位置・影の長さ計算で調べて、高さ = 影の長さ × tan(太陽の高度)で計算します。春分の正午の東京(高度 54.0°)で木の影が 7.3m なら、7.3 × 1.376 ≒ 10.0m です。
- 2
方法2:自分の影と比べる(角度がいらない)
同じ時刻に、自分や1mの棒の影も測ります。同じ太陽に照らされた影は高さに比例するので、木の高さ = 棒の高さ × 木の影 ÷ 棒の影 です。棒 1m の影が 1.25m、木の影が 10m なら、木の高さは 8m になります。
どちらの方法も、影が落ちる地面が平らなことが前提です。影の先端がぼやけて見えるときは、ぼやけた部分の真ん中までを測ると誤差が小さくなります。太陽が低い朝夕は、影の長さが1分ごとにどんどん変わるので、昼に近い時間帯に測るほうが正確です。
計算と実際の影の長さがずれる理由
- 地面が傾いている:坂の上り側に落ちる影は短く、下り側に落ちる影は長くなる
- 影が壁や塀に当たる:途中で壁に当たると、地面に落ちる影は短くなり、残りは壁に映る
- 影の先端がぼやける:太陽は点ではなく、約 0.5° の大きさがあるため、影のふちには半分だけ影になった部分(半影)ができる。高い物ほど先端がぼやける
- 太陽が地平線に近い:日の出直後や日の入り直前は大気による光の屈折が大きく、太陽は実際より少し高く見える。影の倍率が非常に大きい時間帯なので、少しの角度の違いで影の長さが大きく変わる
家の影が隣の家の窓にかかるかどうかを知りたいときは、影の長さだけでなく、窓の高さや窓の向きも関係します。前の建物の高さと距離から窓に日が当たる時間を求める方法は、冬至の日当たりと隣家の距離で解説しています。
よくある質問
- 影の長さはどうやって計算しますか?
- 影の長さ = 物の高さ ÷ tan(太陽の高度)です。太陽の高度が 45° なら影は高さと同じ、30° なら約 1.73 倍、20° なら約 2.75 倍になります。太陽の高度は場所・日付・時刻で決まるので、太陽の位置・影の長さ計算で調べられます。
- 冬至の正午に2階建ての家の影はどれくらい伸びますか?
- 東京なら、冬至の南中高度が約 30.9° なので、高さ 7m の家の影は 7 ÷ tan 30.9° ≒ 11.7m です。札幌(南中高度 23.5°)なら約 16.1m、那覇(40.4°)なら約 8.2m になります。
- 1年で影がいちばん短いのはいつですか?
- 南中高度がいちばん高い夏至(6月21日ごろ)の正午ごろです。東京では南中高度が約 77.8° になり、影は高さの約 0.21 倍、身長 170cm の人で 37cm ほどです。
- 影の長さから木の高さを測れますか?
- 測れます。同じ時刻に長さのわかる棒の影も測り、木の高さ = 棒の高さ × 木の影 ÷ 棒の影 で求めます。太陽の高度がわかっていれば、高さ = 影の長さ × tan(太陽の高度)でも計算できます。
- 影はどの方角に伸びますか?
- 太陽のちょうど反対側です。日本では昼の影はほぼ真北、朝は西〜北西、夕方は北東〜東に伸びます。夏の朝夕は太陽が北寄りの空にあるため、影が南寄りに伸びることもあります。
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