南中高度の求め方|夏至・冬至・春分・秋分の公式と都市別の値
理科の授業や入試でよく出る「南中高度」。公式は 90° − 緯度 ± 23.4° と覚えていても、なぜ足したり引いたりするのか、自分の住む町では何度になるのかまで説明できる人は多くありません。この記事では、南中高度の意味と公式の成り立ち、東京を例にした計算の手順、札幌から那覇までの都市別の値、月ごとの変化、テストで出やすい逆算の問題、暮らしの中での使い道までをまとめます。
南中高度とは
太陽は東から昇って南の空を通り、西へ沈みます。その途中で真南に来た瞬間を「南中(なんちゅう)」といい、そのときの太陽の高さを、地平線からの角度で表したものが「南中高度」です。南中のときに太陽は1日でいちばん高くなるので、南中高度はその日の太陽の最高到達点と言いかえられます。
- 太陽高度:地平線を 0°、真上(天頂)を 90° としたときの太陽の角度。時刻とともに変わる
- 南中:太陽が真南に来ること。北半球の日本では、この瞬間に太陽高度が最大になる
- 南中高度:南中したときの太陽高度。季節と場所(緯度)で決まり、1日の中では変わらない
- 南中時刻:南中する時刻。12時ちょうどとは限らず、東京では 11時25分〜11時56分ごろの間で季節によって動く
南中高度が高いほど、日差しは真上から強く差し、影は短くなります。夏が暑く冬が寒いのは、南中高度の違いによって、同じ面積の地面が受け取る太陽のエネルギーと、昼の長さが変わるためです。
南中高度の公式と、足し引きする理由
南中高度は、次の式で求めます。赤緯(せきい)は、太陽が天の赤道からどれだけ北(プラス)や南(マイナス)にずれているかを表す角度で、季節によって −23.4°〜+23.4° の間を行き来します。
| 日 | 赤緯 | 公式 | 東京(北緯35.7°) |
|---|---|---|---|
| 春分・秋分 | 0° | 90° − 緯度 | 54.3° |
| 夏至 | +23.4° | 90° − 緯度 + 23.4° | 77.8° |
| 冬至 | −23.4° | 90° − 緯度 − 23.4° | 30.9° |
なぜ 90° から緯度を引くのかは、春分・秋分の日を考えるとわかります。この日、太陽は赤道の真上(天頂)を通ります。赤道にいる人にとって南中高度は 90° です。そこから北へ移動すると、地面が丸いぶん、移動した緯度の角度だけ地平線が傾き、太陽はその分だけ低く見えます。だから北緯 35.7° の東京では 90° − 35.7° = 54.3° になります。
23.4° を足し引きするのは、地球の自転の軸が公転面に対して 23.4° 傾いているためです。夏至のころは北半球が太陽のほうへ傾いているので、太陽は北回帰線(北緯 23.4°)の真上を通り、日本からは 23.4° 高く見えます。冬至はその反対で、南回帰線の真上を通るので 23.4° 低く見えます。
東京を例にした計算の手順
- 1
その場所の緯度を調べる
地図アプリで場所を長押しすると緯度・経度が出ます。東京都庁は北緯 35.69° です。学校の問題では「北緯 35°」のように整数で与えられることが多いです。
- 2
季節の赤緯を決める
春分・秋分は 0°、夏至は +23.4°、冬至は −23.4° です。それ以外の日は月によって変わります(後の表を参照)。
- 3
公式に当てはめる
東京の冬至なら 90 − 35.69 − 23.44 = 30.87° です。夏至なら 90 − 35.69 + 23.44 = 77.75° になります。
- 4
必要なら結果を確かめる
太陽の位置・影の長さ計算で東京と冬至を選ぶと、南中高度 30.9° と、式に当てはめた値が並んで表示されます。
ツールに表示される南中高度は、大気による光の屈折(大気差)を含めた「見かけの高度」です。南中のように太陽が高いときの大気差は 0.03° 以下しかないので、公式で出した値と小数第1位までほぼ一致します。一方、日の出・日の入りのように太陽が地平線近くにあるときは大気差が 0.5° ほどになるため、見かけの位置は計算より少し高くなります。
都市別の南中高度(夏至・春分・秋分・冬至)
太陽の位置・影の長さ計算で、2026年の春分(3月20日)・夏至(6月21日)・秋分(9月23日)・冬至(12月22日)の南中高度を都道府県庁の所在地ごとに出しました。南中時刻もあわせて載せています。
| 都市(緯度) | 夏至 | 春分 | 秋分 | 冬至 | 冬至の南中時刻 |
|---|---|---|---|---|---|
| 札幌(43.1°) | 70.4° | 46.8° | 46.9° | 23.5° | 11:33 |
| 仙台(38.3°) | 75.2° | 51.5° | 51.7° | 28.3° | 11:35 |
| 新潟(37.9°) | 75.5° | 51.9° | 52.1° | 28.7° | 11:42 |
| 金沢(36.6°) | 76.8° | 53.2° | 53.4° | 30.0° | 11:52 |
| 東京(35.7°) | 77.8° | 54.1° | 54.3° | 30.9° | 11:40 |
| 名古屋(35.2°) | 78.3° | 54.6° | 54.8° | 31.4° | 11:51 |
| 大阪(34.7°) | 78.8° | 55.1° | 55.3° | 31.9° | 11:56 |
| 広島(34.4°) | 79.0° | 55.4° | 55.6° | 32.2° | 12:09 |
| 福岡(33.6°) | 79.8° | 56.2° | 56.4° | 33.0° | 12:17 |
| 鹿児島(31.6°) | 81.9° | 58.3° | 58.4° | 35.0° | 12:16 |
| 那覇(26.2°) | 87.2° | 63.6° | 63.7° | 40.4° | 12:28 |
春分と秋分の値が 0.1°〜0.2° ずれるのは、春分・秋分の瞬間(赤緯がちょうど 0° になる時刻)が昼の南中とは重ならないためです。2026年の春分の南中では赤緯が −0.2°、秋分の南中では 0.0° でした。テストでは春分も秋分も 90° − 緯度 で計算して問題ありません。
表を見ると、札幌と那覇では冬至の南中高度が 17° 近く違います。冬の札幌は昼でも太陽が 23.5° までしか上がらず、影は高さの約 2.3 倍に伸びます。南北に長い日本では、同じ日でも住む場所によって日当たりの条件がかなり変わります。
月ごとの南中高度の変わり方(東京)
赤緯は春分・夏至・秋分・冬至の4点だけでなく、1年をかけてなめらかに変わります。東京の各月21日の南中高度と南中時刻、昼の長さは次のとおりです(2026年、太陽の位置・影の長さ計算の月ごとの早見表と同じ値)。
| 月(21日) | 赤緯 | 南中高度 | 南中時刻 | 昼の長さ |
|---|---|---|---|---|
| 1月 | −19.9° | 34.4° | 11:53 | 10時間8分 |
| 2月 | −10.6° | 43.7° | 11:55 | 11時間7分 |
| 3月 | +0.2° | 54.5° | 11:49 | 12時間9分 |
| 4月 | +11.8° | 66.1° | 11:40 | 13時間18分 |
| 5月 | +20.2° | 74.5° | 11:38 | 14時間11分 |
| 6月 | +23.4° | 77.8° | 11:43 | 14時間35分 |
| 7月 | +20.5° | 74.8° | 11:48 | 14時間14分 |
| 8月 | +12.1° | 66.5° | 11:44 | 13時間19分 |
| 9月 | +0.7° | 55.1° | 11:34 | 12時間12分 |
| 10月 | −10.7° | 43.7° | 11:26 | 11時間6分 |
| 11月 | −19.9° | 34.4° | 11:27 | 10時間9分 |
| 12月 | −23.4° | 30.9° | 11:39 | 9時間44分 |
南中高度は春分・秋分の前後でいちばん速く変わり、1か月で約 11〜12° 動きます。反対に、夏至・冬至の前後はほとんど変わりません。冬至の前後1か月(11月下旬〜1月下旬)は、ずっと冬至に近い低い太陽が続くことになります。
南中時刻が 11時26分〜11時55分の間で前後するのは「均時差」のためです。地球の公転の軌道が楕円で、地軸も傾いているため、太陽が真南に来る時刻は季節によって最大で十数分ずれます。また、日本の時刻は東経 135°(兵庫県明石市)を基準にしているので、東にある東京は1年を通して 12時より早く、西にある福岡は遅く南中します。
テストに出やすい逆算の問題
南中高度の問題は、公式を変形して「緯度」や「季節」を求める形でもよく出ます。公式を次のように並べかえておくと迷いません。
- 緯度を求める:緯度 = 90° − 南中高度 + 赤緯。春分の南中高度が 55° なら、緯度は 90 − 55 = 35°
- 季節を判断する:南中高度が 90° − 緯度 より高ければ春分〜秋分の間(夏側)、低ければ秋分〜春分の間(冬側)
- 夏至と冬至の差:どの場所でも 23.4° × 2 = 46.8°。夏至と冬至の南中高度の差を問われたら、緯度に関係なくこの値になる
- 南半球の場合:太陽は北の空で南中し、南中高度は 90° − 緯度 − 赤緯 になる。季節も日本と逆で、12月が夏至側になる
暮らしの中での南中高度の使い道
南中高度は理科の問題だけでなく、家づくりや部屋選び、写真の計画にも使えます。とくに冬至の南中高度は「1年でいちばん条件の悪い日の、いちばん条件のよい時刻」の太陽の高さなので、日当たりを考えるときの基準になります。
- 日当たりの確認:前の建物の高さと冬至の南中高度から、冬の昼に窓へ日が届く距離がわかる。計算方法は冬至の日当たりと隣家の距離を参照
- 軒や庇(ひさし)の出:夏の高い日差し(東京で 77.8°)はさえぎり、冬の低い日差し(30.9°)は部屋の奥まで入れる長さを考えられる
- 家庭菜園や花壇:冬でも日が当たる場所を選ぶ目安になる
- 物干しの位置:冬の昼に影になる時間を減らせる
屋根の傾きを「4寸勾配」のように表す場合の角度への直し方は、寸勾配の角度の早見表にまとめています。南中高度と屋根の角度を比べると、冬の昼に屋根の北側がどれくらい日陰になるかの目安もつかめます。
よくある質問
- 南中高度の求め方を簡単に教えてください。
- 春分・秋分は 90° − 緯度、夏至は 90° − 緯度 + 23.4°、冬至は 90° − 緯度 − 23.4° です。東京(北緯 35.7°)なら、春分・秋分が約 54.3°、夏至が約 77.8°、冬至が約 30.9° になります。
- 東京の冬至の南中高度は何度ですか?
- 約 30.9° です。90 − 35.69 − 23.44 = 30.87° で、太陽の位置・影の長さ計算でも 2026年12月22日の東京(新宿)で 30.9°、南中時刻は 11時40分と表示されます。
- 南中高度から緯度を求めるにはどうしますか?
- 緯度 = 90° − 南中高度 + 赤緯 で求めます。春分・秋分なら赤緯は 0° なので、緯度 = 90° − 南中高度 です。夏至なら 23.4° を足し、冬至なら 23.4° を引きます。
- 夏至と冬至の南中高度の差はどこでも同じですか?
- はい。赤緯が +23.4° から −23.4° まで変わるので、差はどの緯度でも約 46.8° です。東京なら 77.8° − 30.9° = 46.9°(端数の関係で 0.1° ずれます)になります。
- 南中時刻はなぜ12時ではないのですか?
- 日本の時刻は東経 135° を基準にしているため、それより東の地域は早く、西の地域は遅く南中します。さらに均時差によって、同じ場所でも季節で十数分前後します。東京では 11時25分ごろ(11月上旬)から 11時56分ごろ(2月中旬)の間で動きます。
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