字余り・字足らず・中八とは|俳句・川柳のリズムを整える直し方
5・7・5に1音多いのが字余り、足りないのが字足らずです。字余りは名句にもあり、必ずしも間違いではありませんが、真ん中の句が8音になる「中八」は、句会や川柳の投稿でよく直しを求められます。この記事では、上六・中八・下六・字足らず・句またがりの違い、許されやすい字余りと目立つ字余りの見分け方、語順の入れ替えや言い換えで5・7・5に整える具体的な直し方をまとめます。
字余り・字足らず・中八などの呼び方
5・7・5の3つの句は、それぞれ上五(かみご)・中七(なかしち)・下五(しもご)と呼ばれます。どの句が何音ずれているかで、呼び方が変わります。
| 呼び方 | 意味 | 例の音数 |
|---|---|---|
| 上六(かみろく) | 上五が6音になる字余り | 6・7・5 |
| 中八(なかはち) | 中七が8音になる字余り | 5・8・5 |
| 下六(しもろく) | 下五が6音になる字余り | 5・7・6 |
| 字足らず | いずれかの句が定型より少ない | 4・7・5 など |
| 句またがり | 全体は17音だが、言葉が句の切れ目をまたぐ | 合計17音 |
| 破調 | 5・7・5から大きく外れたリズム全般 | さまざま |
上五が7音なら上七、中七が9音なら中九のように、実際の音数で呼びます。まずは自分の句がどの句で何音ずれているのかを、正しく数えることから始めましょう。数え方は俳句の音数の数え方で解説しています。
許されやすい字余り・目立つ字余り
字余りはすべてがだめなわけではありません。句の頭に置く上五の字余りは、名句にもたくさんあります。
- 芭蕉野分して 盥に雨を 聞く夜哉(松尾芭蕉):ば・しょ・う・の・わ・き・し・て の8音で始まる上八の句です。
- 目には青葉 山ほととぎす 初鰹(山口素堂):め・に・は・あ・お・ば の6音で始まる上六の句です。
一方で、中七が8音になる中八は、リズムが崩れて聞こえやすい形とされます。よく使われる説明が、5・7・5を「8拍のまとまり」で読むという考え方です。5音の句には3拍、7音の句には1拍の休みが入りますが、中七が8音になると休みがなくなり、下五まで息つぎなしで流れ込んでしまいます。下五の字余りも、句の終わりがもたついて聞こえやすくなります。
5・7・5に整える直し方
意図しない字余り・字足らずは、次のような方法で整えられます。直したら、もう一度声に出して読んで確かめましょう。
- 1
助詞を削る
「春風や 自転車をこいで 坂の上」は、中七が じ・て・ん・しゃ・を・こ・い・で の8音で中八です。「を」を削って「自転車こいで」にすると7音になります。俳句では「を」「が」などの助詞を省いても意味が通ることが多くあります。
- 2
語順を入れ替える
「夏休み 宿題がまだ 終わってない」は、下五が お・わ・っ・て・な・い の6音で下六です。「宿題は まだ終わらない 夏休み」と並べ替えると5・7・5に収まり、最後を名詞で止める体言止めで句の終わりも締まります。
- 3
短い言葉に言い換える
「秋の暮 携帯電話の 光かな」は、け・い・た・い・で・ん・わ・の の8音で中八です。「スマホの青き」と言い換えると7音になり、色の情報も加わります。
- 4
字足らずは言葉を足す
「初雪 窓の向こうが 白くなる」は、上五が は・つ・ゆ・き の4音で字足らずです。切れ字の「や」を足して「初雪や」にすると5音になり、感動の中心もはっきりします。
字足らずは、字余りよりも欠けた感じが目立ちやすいとされます。1音足りないときは、助詞や切れ字を足す、言葉を少し長い言い方に変える、のどちらかを考えてみてください。
句またがりは字余りとは別のもの
句またがりは、全体は17音なのに、1つの言葉が上五と中七、または中七と下五の切れ目をまたいでいる形です。たとえば上五の最後の2音と中七の頭の2音で「しらかば」という1語になっている、といった場合です。
- 音数は定型どおりなので、字余り・字足らずではありません
- 意味の切れ目と音の切れ目がずれるので、読み手に独特の緊張感を与えます
- 意図して使う技法なので、直すかどうかは作者の判断です
音数チェッカーでは、全体が定型の音数なのに語の切れ目では句ごとに合わないとき、音だけで区切った結果をあわせて表示して、句またがりであることを知らせます。
チェッカーで字余りを見つけて直す流れ
- 1
句を入れて、ずれている句を確かめる
俳句か川柳を選んで句を入れると、上六・中八・下六・字足らずが句ごとに表示されます。
- 2
1音ずつの並びから、削れる音を探す
番号つきで並んだ音を見ながら、助詞や言い換えられる言葉がないかを探します。
- 3
直した句を入れ直して確かめる
直した句をもう一度入れ、5・7・5の定型どおりと表示されるかを確認します。読み方が違う語は読みの欄で直してください。
よくある質問
- 中八はなぜだめと言われるのですか?
- 5・7・5を8拍のまとまりで読むと、中七には1拍の休みが入りますが、8音になると休みがなくなり、下五まで流れ込んでリズムが崩れて聞こえるためです。特に川柳では避けるよう言われることが多い形です。
- 上六の字余りは直したほうがいいですか?
- 必ずしも直す必要はありません。上五の字余りは「目には青葉 山ほととぎす 初鰹」のように名句にも多く、比較的受け入れられやすい形です。読んでリズムが気になるときだけ直すとよいでしょう。
- 字足らずと字余りはどちらが目立ちますか?
- 一般的に、字足らずのほうが欠けた感じが目立ちやすいとされます。1音足りないときは、助詞や切れ字の「や」を足すなどして定型に近づけるのがおすすめです。
- 句またがりは字余りですか?
- 字余りではありません。全体の音数は5・7・5の17音どおりで、言葉が句の切れ目をまたいでいるだけです。意図して使われる技法なので、直すかどうかは作者の判断です。
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