仕組み解説公開日 読了目安 約8分

季節を間違えやすい季語一覧|朝顔・七夕・西瓜が秋の理由

朝顔は夏に咲くのに秋の季語、小春は冬の季語、竹の秋は春の季語。俳句の季語には、今の暮らしの感覚とずれているものがたくさんあります。理由は、季語の季節が旧暦と二十四節気にもとづいているからです。この記事では、季語の季節の分け方、季節を間違えやすい季語の一覧、「月」「花」「虫」のように1字で特定の季節を指す季語、季重なり・季違いの考え方をまとめます。

季語の季節は立春・立夏・立秋・立冬で分ける

季語の季節は、二十四節気の立春・立夏・立秋・立冬を境に分けます。今のカレンダーでいうと、だいたい次のとおりです。

季節期間の目安感覚とのずれ
春立春(2月4日ごろ)〜立夏の前日2月はまだ寒いが、俳句では春
夏立夏(5月5日ごろ)〜立秋の前日5月の新緑・梅雨は夏
秋立秋(8月7日ごろ)〜立冬の前日8月の盛夏の行事や植物が秋に入る
冬立冬(11月7日ごろ)〜立春の前日11月の暖かい日も冬
新年正月にかかわるもの初夢・門松・お年玉など

いちばんずれを感じやすいのが秋です。8月の暑い時期の行事や植物は、季語では秋に入ります。また、七夕のように旧暦の日付で行われていた行事は、旧暦の季節のまま季語になっているので、今の7月7日の感覚より1か月ほど遅い季節になります。

季節を間違えやすい季語一覧

季語季節間違えやすい理由
朝顔秋夏休みの花のイメージだが、立秋のころが見ごろ
七夕・天の川秋旧暦7月7日の行事。天の川も七夕とあわせて秋
西瓜秋夏に食べるが、季語では秋
花火夏現代の歳時記では夏。古い歳時記では秋とするものもある
稲妻秋音のある「雷」は夏、光だけの「稲妻」は秋
霧秋似た現象でも、春は「霞」
蛙春雨蛙・河鹿は夏
蜩・法師蝉秋蝉は夏だが、秋に鳴くこの2つは秋
小春・小春日和冬陰暦十月ごろの、春のように暖かい日
竹の秋春竹の葉が黄ばむ晩春のこと
竹の春秋竹の葉が青々と茂る仲秋のこと
麦の秋・麦秋夏麦が実る初夏のこと
彼岸春単に「彼岸」なら春。秋は「秋彼岸」
春待つ・春隣冬春を待つ冬の終わりの季語

「秋」「春」の字が入っていても、その季節とは限らないのが「竹の秋」「麦の秋」「竹の春」「春待つ」です。季語の中の季節の字ではなく、その言葉が指す時期で季節が決まります。

「月」「花」「虫」だけで季節を表す季語

俳句では、1字だけで特定の季節のものを指す季語があります。

  • 月:単に「月」といえば秋の月です。ほかの季節の月は「春の月」「夏の月」「冬の月」のように季節をつけて書きます。
  • 花:単に「花」といえば桜の花で、春の季語です。「百合の花」「草花」のように別の花を指す言葉は、その花の季節になります。
  • 虫:単に「虫」といえば秋に鳴く虫のことです。
  • 露・霧:どちらも秋の季語です。

反対に、「今月」「月曜」の「月」や「花瓶」の「花」は季語ではありません。音数チェッカーの季語チェックでも、こうした暦や道具の言葉の一部になっている「月」「花」は、季語の候補から外すようにしています。

学校や暮らしの行事も季語になる

季語は自然の言葉だけではありません。学校や家庭の行事、身近な食べ物も多くが季語として歳時記に載っています。子どもの俳句の宿題では、こうした身近な季語から選ぶと作りやすくなります。

季節行事・暮らしの季語の例
春卒業・入学・雛祭・花見
夏夏休み・風鈴・冷奴・花火
秋運動会・月見・紅葉狩・秋刀魚
冬クリスマス・手袋・大根
新年初夢・門松

運動会は、春に行う学校が増えた今でも、歳時記では秋の季語として載っていることが多い言葉です。行事の季語は、実際に行う時期ではなく、歳時記に載っている季節で判断します。春の運動会を詠みたいときは、「運動会」の代わりに「春の空」「新緑」など、春の季語と組み合わせて情景を描く方法もあります。

季重なり・季違いの考え方

1つの句に季語が2つ以上入っていることを季重なり、季節の違う季語が混ざっていることを季違いと呼びます。

  • 季重なりは禁止ではありません。「目には青葉 山ほととぎす 初鰹」は、青葉・ほととぎす・初鰹という夏の季語を3つ並べた有名な句です。
  • ただ、どの季語が主役なのかがぼやけやすいので、句会や投稿では見直しを求められることがあります。
  • 季違いは、句がいつの情景なのかが分かりにくくなるので、季重なりよりも直すことが多い形です。
  1. 1

    主役の季語を1つ決める

    句で一番伝えたい季節の情景を表す季語を1つ選びます。

  2. 2

    ほかの季語を季語でない言葉に置き換える

    たとえば「西瓜」と「花火」が両方入るなら、「西瓜」を主役にして「花火」を「夜の音」のような季語でない表現に変えます。

  3. 3

    季節がそろっているかを確かめる

    季語チェックで季節が1つだけになっているか、季重なり・季違いの表示が消えたかを確認します。

最後は歳時記で確かめる

季語の季節や、どの言葉を季語として扱うかは、歳時記によって違うことがあります。花火を夏とするか秋とするかのように、時代によって扱いが変わった季語もあります。

よくある質問

朝顔はなぜ秋の季語なのですか?
季語の季節は立秋(8月7日ごろ)から秋になるため、立秋のころに見ごろを迎える朝顔は秋の季語になっています。同じ理由で、西瓜や七夕、天の川も秋の季語です。
小春日和は春の言葉ですか?
いいえ、冬の季語です。陰暦十月ごろ(今の11月ごろ)の、春のように暖かく穏やかな日のことを指します。
「竹の秋」と「竹の春」の季節は?
竹の秋は春、竹の春は秋の季語です。竹は春に古い葉が黄ばんで落ち、秋に若い葉が青々と茂るため、ほかの植物と季節が逆の呼び方になっています。
季重なりはしてはいけないのですか?
禁止ではありません。「目には青葉 山ほととぎす 初鰹」のように季語を重ねた名句もあります。ただし主役の季語がぼやけやすいので、句会や投稿では1句に季語1つが基本とされることが多いです。

この記事で紹介したツール

あわせて読みたい

仕組み解説約7分

俳句の音数の数え方|拗音・「っ」「ん」「ー」は何音か早見表

俳句は5・7・5の17音で作りますが、この「音」は文字の数ではありません。「きょう」は3文字でも2音、「がっこう」は4文字で4音です。数え方の決まりを知らないと、自分では5・7・5のつもりでも字余りになっていることがあります。この記事では、拗音・促音・撥音・長音の数え方を早見表にまとめ、有名な句での数え方、旧仮名づかい・漢字の読み・数字や英語が入ったときの注意、自動で数えるときのコツを解説します。

記事を読む →
仕組み解説約7分

川柳と俳句の違い|季語・切れ字・口語の使い分けと作り方

川柳と俳句は、どちらも5・7・5の17音で作ります。見た目はそっくりですが、季語が必要かどうか、切れ字を使うかどうか、何を詠むかに違いがあります。公募の川柳コンテストに出したら「これは俳句では?」と言われた、という迷いも少なくありません。この記事では、川柳と俳句の違いを表で比べ、それぞれの成り立ち、川柳らしさを出すコツ、投稿前に確かめたいポイントをまとめます。

記事を読む →
使い方ガイド約8分

字余り・字足らず・中八とは|俳句・川柳のリズムを整える直し方

5・7・5に1音多いのが字余り、足りないのが字足らずです。字余りは名句にもあり、必ずしも間違いではありませんが、真ん中の句が8音になる「中八」は、句会や川柳の投稿でよく直しを求められます。この記事では、上六・中八・下六・字足らず・句またがりの違い、許されやすい字余りと目立つ字余りの見分け方、語順の入れ替えや言い換えで5・7・5に整える具体的な直し方をまとめます。

記事を読む →