仕組み解説公開日 読了目安 約7分

2つの濃度を混ぜる計算|たすき掛け(天秤法)と濃度の逆算

濃い液と薄い液を混ぜて、ちょうどよい濃度にしたい——消毒液の作り直し、液肥の調整、食塩水の問題など、2つの濃度を混ぜる計算は意外とよく出てきます。この記事では、たすき掛け(天秤法)で混ぜる比率を出す方法、水で薄めるのも同じ計算で表せること、混ぜた液の濃度を逆算する方法、%とppmの換算、重さの%と体積の%を取り違えないための注意をまとめます。

たすき掛け(天秤法)で混ぜる比率を出す

濃度Aの液と濃度Bの液を混ぜて、その間の濃度Tにしたいとき、混ぜる比率は「目標との差」を交差させて求めます。この方法は、数字を×の形に書くことから「たすき掛け」、てんびんのつり合いで考えることから「天秤法」と呼ばれます。

  1. 1

    3つの濃度を並べる

    10%の液(A)と4%の液(B)で、6%(T)を300ml作るとします。

  2. 2

    差を交差させる

    Aの割合は T − B = 6 − 4 = 2、Bの割合は A − T = 10 − 6 = 4。比は 2:4 = 1:2 です。

  3. 3

    全体の量を比で分ける

    300mlを1:2に分けて、10%の液を100ml、4%の液を200ml混ぜます。

  4. 4

    検算する

    成分の量は 100 × 10% + 200 × 4% = 10 + 8 = 18ml。18 ÷ 300 = 6% で合っています。

目標の濃度は、2つの液の濃度のあいだにしか作れません。10%と4%の液では、どう混ぜても4%未満や10%超にはなりません。濃くしたいときは、より濃い液を用意する必要があります。

水で薄めるのは「0%の液」と混ぜるのと同じ

水は濃度0%の液と考えられるので、水で薄める計算もたすき掛けで表せます。6%の漂白剤を水で0.05%にするなら、原液の割合は 0.05 − 0 = 0.05、水の割合は 6 − 0.05 = 5.95 で、比は 0.05:5.95 = 1:119(120倍)です。500mlなら原液約4.2ml、水約495.8mlです。

混ぜる2つの液目標比(濃い:薄い)出来上がりの量と内訳
10% と 4%6%1:2300ml → 100ml+200ml
12% と 2%5%3:71L → 300ml+700ml
99.5% と 40%70%30:29.5500ml → 約252.1ml+約247.9ml
6% と 水(0%)0.05%1:119500ml → 約4.2ml+約495.8ml

水で薄めるだけなら、倍率で考えたほうが簡単です(希釈倍率の計算方法)。たすき掛けが役に立つのは、「濃すぎた液を薄い液で直す」「無水エタノールと40%の酒精を混ぜる」のように、水以外の液どうしを混ぜるときです。ツールの「2つの液を混ぜる」に2つの濃度と目標を入れると、比と量がすぐ出ます。

混ぜた液の濃度を逆算する

すでに混ぜてしまった液が何%になったかは、成分の量を合計して、全体の量で割れば分かります。

  • 8%の食塩水200gと3%の食塩水300gを混ぜると、食塩は 16 + 9 = 25g、全体は500gなので 25 ÷ 500 = 5%
  • 6%の漂白剤10mlを水990mlに入れると、6 × 10 ÷ 1000 = 0.06%(600ppm)で、100倍に薄めたことになる
  • 99.5%のエタノール70mlに水30mlなら、99.5 × 70 ÷ 100 = 約69.7%

目分量で作った消毒液や液肥が濃すぎないか、確かめたいときに使えます。ツールの「濃度の確認」では、原液の濃度と、入れた原液・水の量から、出来上がりの濃度・ppm・倍率を逆算します。

%とppmの換算

ppmは100万分の1を表す単位で、1%=10,000ppmです。ごく薄い濃度を%で書くと小数点以下のゼロが続いて読み間違えやすいので、消毒液や水質ではppmがよく使われます。

%ppm読み方のめやす
1%10,000ppm100分の1
0.1%1,000ppm1000分の1
0.05%500ppm2000分の1
0.02%200ppm5000分の1
0.001%10ppm10万分の1

%からppmへは×10,000、ppmから%へは÷10,000です。たすき掛けや逆算の式は、%のまま計算しても、ppmにそろえて計算しても同じ結果になります。塩素系の消毒液をppmで作る方法は次亜塩素酸ナトリウムの薄め方にまとめています。

重さの%と体積の%を取り違えない

濃度の%には、重さの割合(w/w%、質量パーセント)と体積の割合(v/v%、vol%)があります。食塩水の問題や砂糖水は重さの%、エタノールは体積の%で表すのが一般的です。たすき掛けの比は、もとの%と同じ単位の量(重さの%ならg、体積の%ならml)に当てはめます。

  • 食塩水の比をmlで量ると、食塩水は水より重いため少しずれる。正確にしたいときはgで量る
  • 漂白剤や液肥のように薄い水溶液は、重さと体積の差がわずかなので、mlで量ってもほぼ同じ
  • エタノールと水は混ぜると体積が減るので、vol%の計算はわずかにずれる(無水エタノールを70%に薄める方法を参照)

家庭で消毒液や液肥を作る範囲では、mlで量って計算して問題ありません。試験問題や実験で厳密さが求められるときだけ、単位をそろえることを意識します。

よくある質問

2つの濃度の液を混ぜる比率はどう求めますか?
たすき掛け(天秤法)で、濃い液の量:薄い液の量=(目標−薄い液の濃度):(濃い液の濃度−目標)です。10%と4%で6%を作るなら、(6−4):(10−6)=1:2になります。
混ぜたあとの濃度はどう計算しますか?
それぞれの液に含まれる成分の量(量×濃度)を合計し、全体の量で割ります。8%の食塩水200gと3%の食塩水300gなら、(16+9)÷500=5%です。
10%と4%の液から12%の液は作れますか?
作れません。混ぜた液の濃度は、必ず2つの液の濃度のあいだ(この場合は4〜10%)になります。12%にしたいときは、12%より濃い液を用意する必要があります。
1ppmは何%ですか?
1%=10,000ppmなので、1ppmは0.0001%です。500ppmは0.05%、1000ppmは0.1%です。
たすき掛けは水で薄めるときにも使えますか?
使えます。水を濃度0%の液として扱えば、6%の原液を0.05%にする比は0.05:5.95=1:119(120倍)と出せます。ただ水で薄めるだけなら、倍率(原液の濃度÷目標の濃度)で考えたほうが簡単です。

この記事で紹介したツール

あわせて読みたい

使い方ガイド約7分

無水エタノールを70%に薄める方法|水の量・混ぜると減る理由

消毒用エタノールが手に入らないとき、無水エタノールを水で薄めて使う方法があります。ただ「70%にするには水を3割」と単純に考えると少しずれますし、混ぜると量が減るというアルコールならではの性質もあります。この記事では、無水エタノールを70%・75%・80%にするときの量の表、1本使い切るときの計算、混ぜたときに体積が減る理由、使う水の選び方と、作るときの注意点をまとめます。

記事を読む →
使い方ガイド約7分

希釈倍率の計算方法|1000倍は原液何ml?「原液1:水10」との違い

「1000倍に薄めてください」と書かれていても、2Lの水に原液を何ml入れればよいのか、すぐには出てこないものです。さらに洗剤などでは「原液1:水10」という別の書き方もあり、同じ「10倍」でも量が変わります。この記事では、希釈倍率の意味と計算式、出来上がりの量・水の量・原液の量のどれを決めるかで変わる計算、2つの数え方の違い、少ない原液を正確に量るコツをまとめます。

記事を読む →
使い方ガイド約8分

農薬の希釈早見表|噴霧器4L〜20Lの原液量と水和剤のグラム数

農薬や液肥のラベルにある「1000倍」「2000倍」を、手元の噴霧器の容量に合わせて何mlにすればよいかは、毎回計算すると手間がかかります。この記事では、4L・7L・10L・15L・20Lの噴霧器ごとの原液量の早見表、粉の水和剤を何g溶かすかの考え方、展着剤や2種類の薬剤を混ぜるときの計算、10aあたりの散布量から作る量を決める方法と、作りすぎないための注意点をまとめます。

記事を読む →