登山の行動食は何キロカロリー?量と個数の決め方
登山中に急に力が入らなくなる「シャリバテ」は、エネルギー切れが原因です。でも、行動食を何キロカロリー、何個持っていけばいいのかは意外とわかりにくいものです。この記事では、消費エネルギーから行動中に食べる量を決める方法、食べる割合ごとの目安、おにぎり・ようかん・ナッツなど行動食の組み合わせ例、休憩ごとに食べる量の割り振り方、シャリバテを防ぐ食べ方を、具体的な数字で解説します。
行動食の量は「消費エネルギーの何割を食べるか」で決める
行動食の量を決めるには、まずそのコースで使うエネルギーを知る必要があります。登山の消費エネルギーは、コースのきつさを表すルート定数に「体重+ザックの重さ」を掛けて見積もれます(計算式はルート定数の記事を参照)。体重60kg・ザック7kgの人が、コースタイム5時間・距離10km・上下1,000mのコースを歩くと、消費エネルギーは約1,510kcalです。
ただし、使った分を全部その場で食べる必要はありません。体には糖質や脂肪の蓄えがあり、朝食でとったエネルギーもあります。そこで「消費エネルギーの何割を行動中に食べるか」を決めて、行動食の目標カロリーにします。
| 行動中に食べる割合 | 目標(中級コース・約1,510kcal) | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 3割 | 約450kcal | 短めのコース、朝食をしっかり食べた日 |
| 5割 | 約760kcal | 日帰り登山の標準的な目安 |
| 7割 | 約1,060kcal | 長いコース、バテやすい人、寒い日 |
| 10割 | 約1,510kcal | 長丁場で消費した分をできるだけ補いたいとき |
コース別の行動食の目安と組み合わせ例
体重60kg・ザック7kgで、消費エネルギーの5割を食べる場合の目安です。行動食は、おにぎり(約180kcal)、ミニようかん(約170kcal)、ミックスナッツ30g(約180kcal)、あめ1粒(約20kcal)の組み合わせで考えました。
| コース | 消費エネルギー | 食べる目標(5割) | 組み合わせの例 |
|---|---|---|---|
| 低山ハイキング(3時間) | 約820kcal | 約410kcal | おにぎり1個・ナッツ1袋・あめ3粒(420kcal) |
| 日帰りの中級(5時間) | 約1,510kcal | 約760kcal | おにぎり2個・ようかん1本・ナッツ1袋・あめ3粒(770kcal) |
| 長い日帰り(8時間) | 約2,420kcal | 約1,210kcal | おにぎり2個・ようかん3本・ナッツ2袋・あめ2粒(1,270kcal) |
| 登りだけ(ロープウェイで下山) | 約1,130kcal | 約560kcal | おにぎり1個・ようかん1本・ナッツ1袋・あめ2粒(570kcal) |
同じ中級コースでも、食べる割合を変えると量はこう変わります。3割(約450kcal)ならおにぎり1個・ナッツ1袋・あめ5粒、7割(約1,060kcal)ならおにぎり2個・ようかん2本・ナッツ2袋・あめ1粒です。カロリーは商品によって違うので、実際に持っていく袋の表示で計算し直してください。
行動食の選び方:すぐ効くものと長く効くものを混ぜる
| 行動食 | カロリーの目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| おにぎり | 1個 約180kcal | 腹持ちがよい。夏は傷みやすいので早めに食べる |
| ミニようかん | 1本 約170kcal | 糖質が中心ですぐエネルギーになる。つぶれにくい |
| ミックスナッツ(30g) | 1袋 約180kcal | 脂質が多く少量で高カロリー。ゆっくり効く |
| チョコレート(25g) | 約140kcal | 手軽だが、夏は溶けやすい |
| エネルギージェル | 1個 約120kcal | 歩きながら飲める。水と一緒にとる |
| 栄養バー | 1本 約100kcal | 軽くてかさばらない |
| バナナ | 1本 約90kcal | つぶれやすいので日帰りの前半に |
| あめ・ラムネ | 1粒 約20kcal | 少しずつ口に入れられる。端数の調整に便利 |
- ようかん・ジェル・あめなど糖質中心のものは、すぐエネルギーになる。疲れを感じ始めたときに
- おにぎり・ナッツ・パンなどは、ゆっくり効いて腹持ちがよい。早めの休憩に
- 甘いものばかりだと飽きて食べられなくなる。しょっぱいもの(塩せんべい・チーズなど)も混ぜる
- ザックを下ろさなくても取り出せるポケットに、すぐ食べる分を分けておく
休憩ごとに食べる量を割り振る
行動食は一度にまとめて食べるより、休憩のたびに少しずつ食べるほうがエネルギー切れを防げます。目標カロリーを休憩の回数で割ると、1回に食べる量が決まります。中級コース(歩く時間5時間・食べる目標約760kcal・飲む量の上限1,200ml)で、休憩の間隔ごとに計算するとこうなります。
| 休憩の間隔 | 休憩の回数(歩き終わりを含む) | 1回に食べる量 | 1回に飲む量 |
|---|---|---|---|
| 30分ごと | 10回 | 約76kcal | 約120ml |
| 45分ごと | 7回 | 約108kcal | 約171ml |
| 60分ごと | 5回 | 約151kcal | 約240ml |
| 90分ごと | 4回 | 約189kcal | 約300ml |
60分ごとに休むなら、1回にようかん1本かおにぎり1個弱、30分ごとならあめ数粒かナッツひとつかみが目安です。飲む量の決め方は水の量の記事で解説しています。
よくある質問
- 日帰り登山の行動食は何キロカロリー必要ですか?
- 消費エネルギーの5割程度が目安です。体重60kg・ザック7kgで5時間・上下1,000mのコースなら消費エネルギーは約1,510kcalで、行動食は約760kcalです。おにぎり2個・ようかん1本・ナッツ1袋・あめ3粒くらいになります。
- 昼食と行動食は分けて考えますか?
- 行動中に食べるエネルギーとしてまとめて考えます。山頂でおにぎり2個を食べるなら、その分を行動食の目標から引き、残りを休憩ごとに分けて食べます。
- シャリバテとは何ですか?
- 登山中のエネルギー切れのことです。体の糖質が足りなくなり、急に力が入らない、足が前に出ない、寒気がするといった状態になります。おなかが空く前に、休憩ごとに少しずつ食べることで防げます。
- 行動食は多めに持っていくべきですか?
- はい。下山が遅れたときのために、目標カロリーとは別に、あめやようかんなど軽くて日持ちするものを1〜2回分ほど予備として持っておくと安心です。
- 夏の行動食で気をつけることは?
- チョコレートは溶けやすく、おにぎりやバナナは傷みやすくなります。夏はようかん・ナッツ・ジェルなど暑さに強いものを中心にし、汗で失う塩分を補える塩あめやしょっぱいものも加えてください。
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