有給休暇の繰越と時効|最大40日・2年で消える日の計算
使いきれなかった有給休暇は翌年度に繰り越せますが、付与から2年たつと時効で消えてしまいます。この記事では、繰越と時効の仕組み、手元に持てる最大日数、繰越分と今年度分のどちらから使うかで残日数がどう変わるか、毎年少しずつしか使わない人が何日失っているかを、具体的な例で計算します。
有給休暇の時効は2年、繰り越せるのは1回
年次有給休暇を請求できる権利は、付与された日から2年で時効により消えます(労働基準法115条)。1年目に使いきれなかった分は2年目に繰り越して使えますが、2年目の終わりまでに使わなければ消滅します。3年目に持ち越すことはできません。
2020年4月の法改正で、残業代などの賃金を請求できる期間は5年(当面は3年)に延びましたが、年次有給休暇の時効は2年のまま変わっていません。
| 付与日(4月1日入社の例) | 付与日数 | 使える最後の日 |
|---|---|---|
| 2024年10月1日 | 10日 | 2026年9月30日 |
| 2025年10月1日 | 11日 | 2027年9月30日 |
| 2026年10月1日 | 12日 | 2028年9月30日 |
つまり、ある時点で手元にある有給休暇は、いつも「今年度の付与分」と「前年度から繰り越した分」の2つです。前年度の繰越分は、次の付与日の前日で消えます。
手元に持てる最大日数
持てる日数の上限は、今年度の付与日数と前年度の付与日数を1日も使わなかった場合の合計です。勤続6年6か月以上で毎年20日付与される人なら、20日+20日の40日が上限です。
| 働き方 | 最大の付与日数 | 持てる最大日数 |
|---|---|---|
| 通常(週5日以上など) | 20日 | 40日 |
| 週4日 | 15日 | 30日 |
| 週3日 | 11日 | 22日 |
| 週2日 | 7日 | 14日 |
| 週1日 | 3日 | 6日 |
会社によっては、時効で消える有給休暇を積み立てて、病気やけがで長く休むときに使える「積立休暇(失効年休の積立制度)」を設けていることがあります。法律上の義務ではない会社独自の制度なので、就業規則を確認してください。
毎年5日しか使わない人の残日数
2018年4月1日に入社した週5日勤務の人が、毎年度5日ずつしか有給を使わなかった場合の推移です。使った日は古い分(繰越分)から減らしています。
| 年度(付与日) | 付与 | 繰越 | 時効で消滅 | 使用 | 年度末の残り |
|---|---|---|---|---|---|
| 2018年10月1日〜 | 10日 | 0日 | 0日 | 5日 | 5日 |
| 2019年10月1日〜 | 11日 | 5日 | 0日 | 5日 | 11日 |
| 2020年10月1日〜 | 12日 | 11日 | 0日 | 5日 | 18日 |
| 2021年10月1日〜 | 14日 | 12日 | 6日 | 5日 | 21日 |
| 2022年10月1日〜 | 16日 | 14日 | 7日 | 5日 | 25日 |
| 2023年10月1日〜 | 18日 | 16日 | 9日 | 5日 | 29日 |
| 2024年10月1日〜 | 20日 | 18日 | 11日 | 5日 | 33日 |
| 2025年10月1日〜 | 20日 | 20日 | 13日 | 5日 | 35日 |
2026年9月24日の時点で残りは35日ですが、そのうち15日は前年度の繰越分で、9月30日に時効で消えます。10月1日に20日が新たに付与されると、手元は上限の40日です。付与された日数と使った日数の差がそのまま時効で消えていく状態で、この8年間で消えた日数は合計46日(年度が変わる時点の消滅分)、10月1日にはさらに15日が消えます。
繰越分と今年度分、どちらから使うか
有給を使ったとき、繰越分と今年度分のどちらから減らすかは法律で決まっていません。就業規則に定めがなければ、古い繰越分から使ったものとして扱うのが一般的で、労働者にとっても有利です。ところが、就業規則で「今年度分から使う」と決めている会社もあります。
2022年4月1日入社の人が、年度ごとに5日・8日・10日・7日を使った場合で比べると、2026年9月24日時点の残日数は次のように変わります。
| 古い分から使う | 新しい分から使う | |
|---|---|---|
| いまの残日数 | 17日 | 9日 |
| うち9月30日に消える日数 | 3日 | 2日 |
| これまでに時効で消えた日数 | 0日 | 8日 |
| 10月1日の付与(16日)後の見込み | 30日 | 23日 |
有給を時効で消さないためのコツ
時効で消える日数は、付与される日数と使う日数の差で決まります。勤続6年6か月以上で毎年20日付与される人は、毎年20日使わない限り、差の分が2年後に消えていきます。消える日数を減らすには、次の点を意識すると効果的です。
- 次の付与日の前日(繰越分が消える日)を手帳やカレンダーに書いておく。付与日は入社日から決まるので、毎年同じ日付になる
- 付与日の直後に、その年度に使う日の予定を大まかに決める。連休の前後や閑散期に入れると取りやすい
- 繰越分がある年は、繰越分の日数ぶんを付与日の前日までに使い切ることを目標にする
- 半日単位の取得が認められていれば、通院や手続きなどの用事にも使う
- 退職や転職の予定があれば、退職日までの日程と合わせて計画する
ツールで繰越と時効を計算する
有給休暇 日数計算ツールの「残日数・繰越を計算」タブで、入社日と年度ごとに使った日数(半日は0.5日)を入れると、年度ごとの付与・繰越・時効で消えた日数・残りの表と、いまの残日数、次の付与日に消える日数を計算します。「有給を使う順番」を切り替えると、上の比較と同じ計算ができます。
消えそうな有給を計画的に使うには、会社に取得義務がある年5日の仕組みも知っておくと役立ちます。有給休暇の年5日取得義務、退職時にまとめて使う場合は退職前の有給消化を参考にしてください。
よくある質問
- 有給休暇は何年まで繰り越せますか?
- 時効が2年なので、繰り越せるのは翌年度の1回だけです。付与された年度に使わなかった分は翌年度に持ち越せますが、翌年度の終わり(次の次の付与日の前日)までに使わないと消えます。
- 時効で消えた有給休暇は買い取ってもらえますか?
- 会社に買い取る義務はありません。時効で消えた分や法定を超える日数を買い取ることは違法ではないので、就業規則などに買取の定めがあれば受け取れる場合があります。
- 有給休暇の残日数はどこで確認できますか?
- 多くの会社では給与明細や勤怠システムに残日数が表示されます。会社には年次有給休暇管理簿を作って保存する義務があるので、分からなければ人事・総務に確認できます。自分で確かめるなら、入社日と年度ごとの使用日数から計算できます。
- 繰越分の有給休暇にも年5日の取得義務は関係しますか?
- 年5日を数えるときは、繰越分を使った日も含めて数えます。ただし対象になるかどうかは、その年度に新しく付与された日数が10日以上かで判断し、繰越分は足しません。
この記事で紹介したツール
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