勤続5年以下・役員の退職金の税金|1/2が使えないケース
退職金は控除後の額を1/2にして課税されるのが原則ですが、勤続5年以下の人と、役員としての勤続が5年以下の人には例外があります。退職金1,000万円の場合、勤続5年の会社員の税金は1,540,822円で、勤続6年の719,482円の2倍以上です。この記事では、短期退職手当等と特定役員退職手当等の計算方法、勤続5年と6年の比較、役員・公務員の扱いをまとめます。
退職金は3つの区分で計算が変わる
| 区分 | 対象 | 退職所得の金額 |
|---|---|---|
| 一般退職手当等 | 勤続6年以上の人 | (退職金 − 控除)× 1/2 |
| 短期退職手当等 | 役員等以外で勤続5年以下の人 | 控除後300万円までは × 1/2、300万円を超える部分はそのまま |
| 特定役員退職手当等 | 役員等としての勤続が5年以下の人 | 退職金 − 控除(1/2なし) |
退職所得控除の計算(勤続20年以下は40万円×勤続年数、最低80万円)は3つとも同じです。違うのは、控除を引いたあとに1/2をかけられるかどうかです。短期間で多額の退職金を受け取り、軽い税負担で済ませることを防ぐためのルールで、特定役員は2013年分から、短期退職手当等は2022年分から適用されています。
短期退職手当等(勤続5年以下の会社員)
役員以外の人で勤続5年以下の場合、退職金から控除を引いた額のうち、300万円までは従来どおり1/2になりますが、300万円を超える部分は1/2になりません。退職金1,000万円・勤続5年なら、控除200万円を引いた800万円のうち、300万円の1/2の150万円と、超える500万円の合計650万円が課税退職所得です。
| 退職金 | 勤続5年(短期) | 勤続6年(一般) | 差 |
|---|---|---|---|
| 300万円 | 75,525円 | 45,315円 | 30,210円 |
| 500万円 | 226,575円 | 196,365円 | 30,210円 |
| 800万円 | 932,422円 | 466,332円 | 466,090円 |
| 1,000万円 | 1,540,822円 | 719,482円 | 821,340円 |
| 1,500万円 | 3,456,439円 | 1,479,982円 | 1,976,457円 |
| 2,000万円 | 5,641,089円 | 2,297,148円 | 3,343,941円 |
退職金500万円以下の場合の差は、控除が40万円違うことによるもので、300万円のルールの影響はありません。控除後の額が300万円以下、つまり勤続5年なら退職金500万円、勤続3年なら420万円までは、一般の退職金と同じ計算になります。影響が大きいのは、退職金が控除+300万円を超える人です。
特定役員退職手当等(役員・議員・公務員)
役員等としての勤続年数が5年以下の人が、その期間に対して受け取る退職金は、控除を引いた額に1/2をかけずにそのまま課税されます。ここでいう役員等には、会社の役員だけでなく議員や公務員も含まれます。
- 法人の取締役・執行役・会計参与・監査役・理事・監事・清算人など
- 国会議員・地方議会の議員
- 国家公務員・地方公務員
| 退職金(勤続5年) | 会社員(短期退職手当等) | 役員等(特定役員) |
|---|---|---|
| 500万円 | 226,575円 | 506,752円 |
| 800万円 | 932,422円 | 1,388,722円 |
| 1,000万円 | 1,540,822円 | 2,029,284円 |
| 2,000万円 | 5,641,089円 | 6,296,484円 |
役員等としての勤続が6年以上あれば、会社員と同じ一般退職手当等として(退職金−控除)×1/2で計算します。役員の退職金で税金が重くなるのは、就任から5年以内に退任する場合です。
従業員から役員になった場合
従業員として勤めたあと役員になり、役員期間が5年以下で退職した場合は、退職金を役員期間の分とそれ以外の分に分け、それぞれ別の方法で計算します。退職所得控除も期間に応じて分けるため、計算は複雑になります。
- 役員期間が5年を超えていれば、全体を一般退職手当等として計算する
- 従業員期間の分は、その期間が5年以下なら短期退職手当等、6年以上なら一般退職手当等になる
- 従業員から役員になったときに退職金を打ち切り支給していれば、役員分の退職金は役員期間だけで勤続年数を数える
このような分割計算が必要な場合は、会社の経理担当者や税務署に確認してください。どの区分でも基本の流れは同じで、退職所得控除の出し方は退職所得控除とは、申告書の出し方は退職所得の受給に関する申告書で解説しています。
勤続4年・5年・6年で比べると
短期退職手当等になるかどうかの境目は、切り上げ後の勤続年数が5年か6年かです。会社員(役員以外)の場合、退職金の額ごとの税金は次のようになります。
| 退職金 | 勤続4年 | 勤続5年 | 勤続6年 |
|---|---|---|---|
| 800万円 | 1,054,102円 | 932,422円 | 466,332円 |
| 1,000万円 | 1,662,502円 | 1,540,822円 | 719,482円 |
| 1,500万円 | 3,631,211円 | 3,456,439円 | 1,479,982円 |
4年から5年では控除が40万円増える分しか変わりませんが、5年から6年では1/2の軽減が全額に使えるようになるため、税金が半分以下になります。勤続期間が5年を少し超える時期に退職すれば6年として扱われるので、入社日の5年後の応当日以降に退職日を設定できるかどうかで、税金が大きく変わります。
よくある質問
- 勤続5年以下で退職すると退職金の税金は高くなりますか?
- 退職金から控除を引いた額が300万円を超える場合は高くなります。300万円を超える部分に1/2が使えないためです。退職金1,000万円なら、勤続5年の税金は1,540,822円、勤続6年なら719,482円です。控除後の額が300万円以下なら、通常の計算と変わりません。
- 短期退職手当等の300万円はどう計算しますか?
- 退職金から退職所得控除を引いた額のうち、300万円までの部分は1/2にし、300万円を超える部分はそのまま加えます。控除後800万円なら、150万円+500万円=650万円が退職所得の金額です。
- 役員退職金の税金はどう計算しますか?
- 役員等としての勤続が5年以下なら、退職金から控除を引いた額に1/2をかけずに課税します(特定役員退職手当等)。役員として5年を超えていれば、会社員と同じく1/2をかけて計算します。
- 公務員の退職金も特定役員退職手当等になりますか?
- なります。国家公務員・地方公務員、国会議員・地方議員も役員等に含まれるため、勤続5年以下で受け取る退職金は1/2の軽減がありません。
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