退職金の勤続年数の数え方|1日違いで税金が変わる退職日
退職金の税金を計算するときの勤続年数は、1年未満の端数を1年に切り上げます。そのため、退職日が1日違うだけで勤続年数が1年増え、税金が数万〜10万円以上変わることがあります。この記事では、勤続年数の数え方、日付ごとの具体例、勤続年数に含まれる期間・含まれない期間、退職日を決めるときの注意点をまとめます。
勤続年数は「1年未満は切り上げ」
退職所得控除の計算に使う勤続年数は、その会社に入社した日から退職した日までの期間です。1年未満の端数があるときは1年に切り上げます(所得税法施行令69条2項)。25年1か月でも25年11か月でも、税金の計算上は26年です。
つまり、ちょうど満了した年数で退職するより、1日でも超えて退職したほうが勤続年数が1年多くなります。勤続20年を超えている人なら、1年増えると退職所得控除が70万円増えます。
日付ごとの勤続年数の例
| 入社日 | 退職日 | 勤続期間 | 税金計算の勤続年数 |
|---|---|---|---|
| 2000年4月1日 | 2026年3月31日 | 26年0か月 | 26年 |
| 2000年4月1日 | 2026年4月1日 | 26年と1日 | 27年 |
| 2001年10月1日 | 2026年9月30日 | 25年0か月 | 25年 |
| 2001年10月1日 | 2026年10月1日 | 25年と1日 | 26年 |
| 1988年4月1日 | 2026年3月31日 | 38年0か月 | 38年 |
| 1988年4月1日 | 2026年4月30日 | 38年1か月 | 39年 |
4月1日入社の人は、3月31日に退職するとちょうど満了した年数になり、翌日の4月1日以降に退職すると1年増えます。入社日の応当日(入社日と同じ月日)以降に退職すると1年増える、と覚えておくと分かりやすいでしょう。
1年増えると税金はいくら変わるか
| 退職金 | 勤続年数 | 税金 | 1年増えた場合 | 差 |
|---|---|---|---|---|
| 500万円 | 12年 → 13年 | 15,105円 | 0円 | 15,105円 |
| 1,000万円 | 10年 → 11年 | 506,752円 | 466,332円 | 40,420円 |
| 1,000万円 | 20年 → 21年 | 151,050円 | 98,182円 | 52,868円 |
| 2,000万円 | 30年 → 31年 | 405,702円 | 334,967円 | 70,735円 |
| 2,000万円 | 37年 → 38年 | 7,552円 | 0円 | 7,552円 |
| 3,000万円 | 38年 → 39年 | 993,262円 | 886,792円 | 106,470円 |
1988年4月1日入社・退職金3,000万円の例では、2026年3月31日退職(38年)の税金は993,262円ですが、4月1日以降に退職すれば39年になり886,792円で、106,470円少なくなります。退職金がすでに非課税枠に収まっている人は、勤続年数が増えても税金は変わりません。
金額ごとの税金と手取りは退職金1,000万・2,000万・3,000万の税金と手取り、控除額の一覧は退職所得控除の早見表にまとめています。
勤続年数に含まれる期間・含まれない期間
- 休職・育児休業・介護休業の期間:会社に在籍していれば含まれる
- 試用期間・パートやアルバイトとして働いていた期間:同じ会社に引き続き勤めていれば含まれる
- グループ会社への出向期間:出向元が出向期間も含めて退職金を払う場合は含まれる
- 前の会社での期間:前の会社から退職金を受け取らず、今の会社がその期間も含めて退職金を計算して払う場合は含まれる
- 定年後の再雇用期間:定年時に退職金を受け取っていれば、それまでの期間とは別。再雇用後に受け取る退職金は、再雇用後の期間で数える
勤続年数に含めてよいかどうかは、会社が退職金を計算するときの期間の扱いに左右されます。迷うときは、会社から受け取る「退職所得の源泉徴収票」の勤続年数の欄を確認しましょう。
退職日を決めるときの注意点
- 退職日を延ばすと、税金だけでなく会社の退職金規程による支給額そのものが増えることもある
- 有給休暇の消化で最終出社日と退職日がずれる場合、勤続年数は退職日(在籍の最終日)で数える
- 失業保険の給付日数や、65歳前後の退職での給付の違いにも関係する
- 退職金がすでに非課税枠に収まっていれば、税金の面では退職日をずらす意味はない
有給休暇を使い切ってから退職する場合の日程の組み方は退職前の有給消化、60歳・65歳前後の失業保険の違いは60歳・65歳の失業保険を参考にしてください。
20年以下と20年超では1年の重みが違う
勤続年数が1年増えたときに増える退職所得控除は、20年以下なら40万円、20年超なら70万円です。控除後の額は1/2にして課税されるため、課税退職所得はそれぞれ20万円・35万円減ります。これに所得税率と住民税10%をかけた額が、1年増えたときに減る税金のおおよその目安です。
| 勤続年数 | 1年で増える控除 | 課税退職所得の減少 | 税金の減少の目安 |
|---|---|---|---|
| 5年以下(短期) | 40万円 | 20万〜40万円 | 税率によって大きく変わる |
| 6〜20年 | 40万円 | 20万円 | 約3万〜9万円(所得税率33%まで) |
| 21年以上 | 70万円 | 35万円 | 約5万〜15万円(所得税率33%まで) |
たとえば課税退職所得が195万〜330万円(所得税率10%)の範囲にある人が勤続21年以上なら、35万円 ×(10% × 102.1% + 10%)で約7万円減ります。上の表の2,000万円・30年→31年の70,735円がこの例です。
自分の勤続年数と境目の日を確かめる手順
- 1
入社日と退職予定日を確認する
入社日は雇用契約書や社員証、年金の加入記録で確かめられます。試用期間やパート期間から通算するかどうかも確認しておきます。
- 2
計算ツールに日付を入れる
退職金 税金・手取り計算ツールで「入社日と退職日から」を選ぶと、勤続期間と、切り上げ後の勤続年数が表示されます。
- 3
境目の日と税金の差を見る
何日以降に退職すれば勤続年数が1年増えるかと、そのとき税金がいくら減るかも表示されます。差が大きければ、会社と退職日を相談する材料になります。
よくある質問
- 退職金の勤続年数の端数はどう扱いますか?
- 1年未満の端数は1年に切り上げます。勤続25年1日でも26年として退職所得控除を計算します。勤続20年を超えていれば、1年増えるごとに控除が70万円増えます。
- 3月31日退職と4月1日退職で税金は変わりますか?
- 4月1日入社の人なら変わることがあります。2000年4月1日入社の場合、2026年3月31日退職は勤続26年、4月1日退職は26年と1日で27年になり、控除が70万円増えます。退職金が非課税枠を超えている場合は税金が減ります。
- 育児休業や休職の期間は勤続年数に含まれますか?
- 会社に在籍していた期間であれば、税金の計算上の勤続年数に含まれます。会社の退職金規程で休職期間を除いて退職金の額を計算している場合でも、税金の勤続年数とは別に考えます。
- 定年後に再雇用された場合の勤続年数はどうなりますか?
- 定年時に退職金を受け取っている場合は、再雇用後の退職金の勤続年数は再雇用後の期間だけで数えます。定年時に退職金を受け取らず、最終的な退職時にまとめて受け取る場合は、入社からの通算で数えます。
この記事で紹介したツール
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