60歳・65歳の失業保険|64歳で退職するといくら違う?
60歳を過ぎてからの退職では、失業保険のしくみが2回変わります。60〜64歳は給付率の下限が45%に下がり、65歳以上になると基本手当ではなく「高年齢求職者給付金」という一時金に切り替わります。この記事では、60〜64歳の額の計算、定年退職の給付日数と受給期間の延長、65歳以上の高年齢求職者給付金、64歳と65歳で退職した場合の差、年金との関係をまとめます。
60〜64歳は給付率の下限が45%
60歳以上65歳未満で離職した場合も、基本手当日額の出し方は同じで、離職前6か月の賃金の合計を180で割った賃金日額に給付率をかけます。違うのは給付率で、60歳未満の50〜80%に対して、60〜64歳は45〜80%です。賃金日額が11,800円(月給約35.4万円)を超えると45%になります。
| 月給 | 59歳で離職 | 62歳で離職 | 差(1日あたり) |
|---|---|---|---|
| 20万円 | 4,992円 | 4,853円 | 139円 |
| 25万円 | 5,707円 | 5,136円 | 571円 |
| 30万円 | 6,207円 | 5,220円 | 987円 |
| 40万円 | 6,666円 | 5,999円 | 667円 |
月給25万〜35万円あたりの人ほど差が大きく、月給30万円なら1日987円、150日分で約15万円少なくなります。賃金日額の上限も60〜64歳は16,940円で、45〜59歳(17,740円)より低く、基本手当日額の上限は7,623円です。
定年退職の給付日数と受給期間の延長
定年退職や、本人が更新を希望しなかった契約期間満了は「一般の離職者」で、給付制限はなく、日数は加入期間で90〜150日です。会社都合で離職した60〜64歳は90〜240日になります(詳しくは失業保険は何日もらえるか)。
| 60〜64歳・月給30万円 | 加入10年以上20年未満 | 加入20年以上 |
|---|---|---|
| 定年退職・契約満了 | 120日 626,400円 | 150日 783,000円 |
| 会社都合 | 210日 1,096,200円 | 240日 1,252,800円 |
65歳以上は高年齢求職者給付金(一時金)
65歳以上で離職した人は、基本手当の代わりに高年齢求職者給付金を受け取ります。4週間ごとに分けて支給されるのではなく、1回の失業認定でまとめて一時金として支給されます。
- 支給額:基本手当日額に相当する額 × 30日分(加入1年未満)または50日分(加入1年以上)
- 日額の計算:65歳未満と同じ50〜80%の給付率。賃金日額の上限は29歳以下と同じ14,510円(日額上限7,255円)
- 受給の条件:離職前1年間に被保険者期間が通算6か月以上
- 受給期限:離職日の翌日から1年以内。待期7日と、自己都合なら給付制限もある
- 離職理由による日数の差はなく、会社都合でも30日分・50日分
- 条件を満たせば、65歳以降に離職するたびに受け取れる
月給30万円・加入1年以上なら、6,207円 × 50日 = 310,350円です。手続き後の最初の認定日に一括で支給が決まり、約1週間で振り込まれます。
64歳と65歳で退職した場合の差
定年や契約満了で退職する時期を64歳にするか65歳にするかで、受け取れる額が大きく変わります。加入20年以上・定年退職(給付制限なし)で比べると次のとおりです。
| 月給 | 64歳で離職(基本手当150日) | 65歳で離職(一時金50日分) | 差 |
|---|---|---|---|
| 20万円 | 4,853円 × 150日 = 727,950円 | 4,992円 × 50日 = 249,600円 | 478,350円 |
| 25万円 | 5,136円 × 150日 = 770,400円 | 5,707円 × 50日 = 285,350円 | 485,050円 |
| 30万円 | 5,220円 × 150日 = 783,000円 | 6,207円 × 50日 = 310,350円 | 472,650円 |
| 40万円 | 5,999円 × 150日 = 899,850円 | 6,666円 × 50日 = 333,300円 | 566,550円 |
65歳になるのは法律上、誕生日の前日です。そのため「64歳で離職した」ことになるのは、65歳の誕生日の前々日までに退職した場合です。退職日を少し早めるだけで数十万円の差になるため、いわゆる「64歳11か月での退職」が話題になります。
年金との関係
65歳以上で受け取る高年齢求職者給付金は、老齢年金と同時に受け取れます。年金を受けながら仕事を探す場合でも、給付金は減りません。一方、65歳未満の基本手当は、上のとおり65歳前の老齢厚生年金と同時には受け取れず、ハローワークで求職の申込みをした翌月から年金が止まります。
失業保険も高年齢求職者給付金も非課税なので、年金と違って所得税・住民税はかかりません。老後の生活費の見通しは老後資金の取り崩し方も参考にしてください。
よくある質問
- 65歳以上でも失業保険はもらえますか?
- 基本手当ではなく、高年齢求職者給付金として一時金で受け取れます。離職前1年間に雇用保険の被保険者期間が6か月以上あれば対象で、加入1年以上なら基本手当日額の50日分、1年未満なら30日分です。月給30万円・加入1年以上なら310,350円です。
- 64歳11か月で退職すると本当に得ですか?
- 失業保険だけで比べると、65歳の誕生日の前々日までに退職すれば基本手当(加入20年以上の定年退職なら150日分)になり、65歳以降の一時金(50日分)より多くなります。月給30万円なら差は約47万円です。ただし65歳前の老齢厚生年金が支給停止になる点や、退職金・自己都合扱いになるかどうかも確認してください。
- 高年齢求職者給付金と年金は両方もらえますか?
- 両方もらえます。65歳以上の老齢年金と高年齢求職者給付金は調整されません。65歳未満の基本手当を受ける場合は、65歳前の老齢厚生年金(特別支給・繰上げ)が支給停止になります。
- 定年退職でも失業保険はもらえますか?
- 働く意思と能力があり、求職活動をしていればもらえます。定年退職は給付制限がなく、日数は加入期間で90〜150日です。すぐに働くつもりがない場合は、離職後2か月以内に申し出れば受給期間を最大1年延ばせます。
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