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退職所得控除とは|退職金はいくらまで非課税?早見表つき

退職金には「退職所得控除」という大きな非課税枠があり、勤続年数が長いほど枠が広がります。勤続38年なら2,060万円までは税金がかかりません。この記事では、退職所得控除の計算式、勤続年数別の早見表、退職金の額ごとに税金が0円になる勤続年数、枠を超えたときの課税のしかたをまとめます。

退職所得控除は退職金の「非課税枠」

退職金は、長年の勤務に対する後払いの給与であり、老後の生活資金でもあるため、給与よりかなり軽く課税されます。その中心になるのが退職所得控除です。退職金の額からこの控除額を引き、残りがなければ所得税も住民税もかかりません。

控除額を決めるのは勤続年数だけです。退職金の額、退職した年の年収、家族構成、役職は控除額に関係しません。そのため、同じ2,000万円の退職金でも、勤続38年の人は税金0円、勤続30年の人は約40万円と、勤続年数で結果が大きく変わります。

退職所得控除の計算式

勤続年数退職所得控除額
20年以下40万円 × 勤続年数(80万円に満たないときは80万円)
20年超800万円 + 70万円 ×(勤続年数 − 20年)

勤続20年までは1年あたり40万円、21年目からは1年あたり70万円ずつ増えます。長く勤めた人ほど1年の重みが増えるしくみです。勤続1年・2年の人も、最低80万円の控除があります。

  • 勤続年数は、入社日から退職日までの期間で数え、1年未満の端数は1年に切り上げる(25年1か月なら26年)
  • 障害者になったことが直接の原因で退職した場合は、上の額に100万円を加える
  • 同じ年に2か所以上から退職金を受け取った場合や、過去に受け取った退職金・iDeCoや企業型DCの一時金と勤続期間が重なる場合は、重なった期間の分だけ控除が減らされる

端数の切り上げのルールは、退職日が1日違うだけで控除額が40万〜70万円変わることがある重要なポイントです。詳しくは退職金の勤続年数の数え方で解説しています。

勤続年数別の退職所得控除額の早見表

勤続年数退職所得控除額障害退職の場合
1〜2年80万円180万円
3年120万円220万円
5年200万円300万円
10年400万円500万円
15年600万円700万円
20年800万円900万円
21年870万円970万円
22年940万円1,040万円
25年1,150万円1,250万円
30年1,500万円1,600万円
33年1,710万円1,810万円
35年1,850万円1,950万円
38年2,060万円2,160万円
40年2,200万円2,300万円
42年2,340万円2,440万円
45年2,550万円2,650万円

22歳で入社して60歳で定年退職する場合は勤続38年で2,060万円、65歳まで勤めれば勤続43年で2,410万円です。大卒で定年まで勤めた場合の平均的な退職金であれば、多くが非課税枠に収まるか、超えても少しだけになります。

退職金の額別・税金が0円になる勤続年数

逆に「この退職金なら何年勤めれば税金がかからないか」を計算すると次のとおりです。退職金の額が控除額以下なら、所得税も住民税も0円で、額面がそのまま手取りになります。

退職金税金0円になる勤続年数その年数の控除額1年短い場合の税金
500万円13年以上520万円15,105円(12年)
1,000万円23年以上1,010万円—
1,500万円30年以上1,500万円—
2,000万円38年以上2,060万円7,552円(37年)
2,500万円45年以上2,550万円—
3,000万円52年以上3,040万円—

2,000万円の退職金なら、勤続37年では控除1,990万円を10万円だけ超え、その1/2の5万円に課税されて税金は7,552円です。38年になると0円になります。税金の実額は退職金1,000万・2,000万・3,000万の税金と手取りに表でまとめています。

非課税枠を超えた部分の課税のしかた

  1. 1

    退職金から退職所得控除を引く

    2,000万円・勤続30年なら、2,000万円 − 1,500万円 = 500万円。

  2. 2

    残りを1/2にする(退職所得の金額)

    500万円 × 1/2 = 250万円。1,000円未満は切り捨てて課税退職所得金額にします。

  3. 3

    所得税と住民税をかける

    所得税は速算表で250万円 × 10% − 97,500円 = 152,500円に、復興特別所得税を合わせて102.1%にして155,702円。住民税は10%で250,000円。合計405,702円で、手取りは19,594,298円です。

障害者になったことが原因の退職なら、控除が100万円増えて1,600万円になり、同じ2,000万円の税金は304,652円と約10万円少なくなります。

控除が減る・使えないケース

退職所得控除は「その勤続期間に対して1回だけ」使えるのが原則です。同じ期間を対象にした退職金をすでに受け取っている場合や、別の一時金と期間が重なる場合は、重なった分の控除が減らされます。

  • 同じ年に2つの会社から退職金を受け取った:勤続期間の長いほうを基準に、重なる期間を除いて1つの控除として計算する
  • 過去に同じ会社や別の会社から退職金を受け取っている:前回の勤続期間と重なる期間の分が控除から差し引かれる
  • iDeCoや企業型DCを一時金で受け取った:退職金と受け取る順番・間隔によっては、掛金を払った期間と勤続期間の重なりに応じて控除が調整される
  • 退職金を年金形式で受け取った部分:退職所得ではなく雑所得になり、退職所得控除ではなく公的年金等控除の対象になる

こうした調整は会社に出す「退職所得の受給に関する申告書」に書いた内容をもとに行われます。書き方と出さなかった場合の扱いは退職所得の受給に関する申告書で解説しています。重なりの調整がない一般的なケースなら、退職金 税金・手取り計算ツールで勤続年数と退職金の額を入れるだけで、控除額と税金、手取りを確認できます。

よくある質問

退職金はいくらまで非課税ですか?
退職所得控除額までです。勤続20年以下は40万円×勤続年数(最低80万円)、20年超は800万円+70万円×(勤続年数−20年)で、勤続20年なら800万円、30年なら1,500万円、38年なら2,060万円まで税金がかかりません。
勤続20年を超えると控除額はどう変わりますか?
21年目から1年あたりの控除が40万円から70万円に増えます。勤続20年の控除額は800万円ですが、21年なら870万円、25年なら1,150万円、30年なら1,500万円です。
退職所得控除は年収や扶養家族で変わりますか?
変わりません。控除額は勤続年数と、障害者になったことが原因の退職かどうかだけで決まります。退職金は給与と分けて課税されるため、その年の年収にも左右されません。
パートやアルバイトの退職金にも退職所得控除はありますか?
あります。雇用形態にかかわらず、退職を理由に支払われる一時金は退職所得になり、勤続年数に応じた控除が使えます。勤続1〜2年でも最低80万円の控除があるため、少額の退職金なら税金はかかりません。

この記事で紹介したツール

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