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社会保険料の計算方法|標準報酬月額と等級で決まる仕組み

給与明細の健康保険料や厚生年金保険料は、その月の給与に料率をかけた額ではありません。「標準報酬月額」という区切りの金額に当てはめて決まります。この記事では、等級の決まり方と見直しのタイミング、報酬月額ごとの控除額を金額で整理します。

給与から引かれる4つの社会保険料

会社員が毎月負担しているのは次の4つです。料率はいずれも「全体の率」で、健康保険・介護保険・厚生年金は会社と折半するため、本人が払うのはその半分です。

保険料率(全体)本人負担かかる金額対象
健康保険9.91%(東京都・協会けんぽ)折半で4.955%標準報酬月額・標準賞与額全員
介護保険1.59%折半で0.795%標準報酬月額・標準賞与額40〜64歳
厚生年金18.3%(全国一律)折半で9.15%標準報酬月額・標準賞与額70歳未満
雇用保険本人0.55%0.55%その月の給与の総額週20時間以上など

ここで大事なのは、雇用保険だけが「実際に支払われた給与」にかかり、他の3つは「標準報酬月額」という別の数字にかかるという点です。残業代が増えた月に雇用保険料だけ動いて健康保険料が変わらないのは、この違いによるものです。

標準報酬月額と等級

標準報酬月額は、給与を区切りのよい金額に丸めたものです。健康保険は1等級(58,000円)から50等級(139万円)まで、厚生年金は1等級(88,000円)から32等級(65万円)まであります。報酬月額がその範囲に入れば、同じ等級の人は同じ保険料になります。

たとえば報酬月額が29万円から31万円未満の人は、そろって標準報酬月額30万円(健康保険22等級・厚生年金19等級)です。給与が29万5千円でも30万5千円でも、健康保険料14,865円・厚生年金保険料27,450円で変わりません。

厚生年金は32等級(標準報酬月額65万円)が上限で、報酬月額63万5千円以上は全員同じ保険料です。本人負担は月59,475円・年713,700円で頭打ちになります。年収800万円でも1200万円でも厚生年金保険料が同じなのは、この上限があるためです。

等級が決まるタイミング

標準報酬月額は毎月見直されるわけではなく、決まった機会にだけ改定されます。

  • 資格取得時決定:入社したときに、見込みの報酬から決めます。
  • 定時決定:4月・5月・6月に支払われた給与の平均から決め、その年の9月から翌年8月まで使います。年に1度の見直しです。
  • 随時改定:昇給や降給で固定的賃金が変わり、3か月続けて2等級以上の差が出た場合に、4か月目から改定されます。
  • 産前産後・育児休業等終了時改定:休業から復帰して給与が下がったときに申し出により改定できます。

「4〜6月に残業すると1年間保険料が高くなる」と言われるのは定時決定の仕組みによるものです。ただし厚生年金保険料が増えれば将来受け取る年金額も増えるため、一方的に損というわけではありません。

また、通勤手当や住宅手当などの各種手当も報酬に含めて平均を出します。残業代も対象です。基本給だけで等級を考えると実際の明細とずれるので、総支給額で見てください。

報酬月額ごとの控除額

東京都(協会けんぽ・健康保険料率9.91%)、厚生年金18.3%、雇用保険0.55%で計算した、本人負担の月額です。

報酬月額標準報酬月額健康保険厚生年金雇用保険合計(39歳以下)合計(40〜64歳)
20万円20万円(健17等級)9,910円18,300円1,100円29,310円30,900円
24万円24万円(健19等級)11,892円21,960円1,320円35,172円37,080円
28万円28万円(健21等級)13,874円25,620円1,540円41,034円43,260円
30万円30万円(健22等級)14,865円27,450円1,650円43,965円46,350円
34万円34万円(健24等級)16,847円31,110円1,870円49,827円52,530円
38万円38万円(健26等級)18,829円34,770円2,090円55,689円58,710円
50万円50万円(健30等級)24,775円45,750円2,750円73,275円77,250円
70万円71万円(健37等級)35,180円59,475円3,850円98,505円104,149円

月給のおよそ15%前後が社会保険料で引かれ、40歳以降はさらに0.8%ほど増えます。ここに所得税と住民税が加わったものが、明細の控除合計です。月給30万円なら手取りはおよそ23万9千円になります。

人によって変わる部分

同じ給与でも保険料が変わる要素は3つあります。

  • 年齢:40歳の誕生日の前日が属する月から介護保険料が加わります。年収500万円なら年39,108円、月3,259円の増加です。65歳からは給与天引きではなく、原則として年金からの徴収に切り替わります。
  • 勤務先の都道府県:協会けんぽの健康保険料率は都道府県ごとに違い、令和7年度は最も低い沖縄県9.44%から最も高い佐賀県10.78%まで開きがあります。年収500万円なら年間26,264円の差です。
  • 健康保険組合かどうか:組合独自の料率が使われ、会社の負担割合が折半より大きいこともあります。明細の額が協会けんぽの計算と合わない場合はここを確認してください。

ツールで明細を検算する

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    「月収から手取り」タブを開く

    毎月の額面(総支給額)を入力します。賞与が年何か月分あるかも指定できます。

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    年齢と都道府県を合わせる

    「条件を設定する」で年齢帯と勤務先の都道府県を選びます。健康保険組合なら料率を直接書き換えてください。

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    等級表で自分の行を確認する

    健康保険の全50等級の表が表示され、該当する行が強調されます。明細に書かれた標準報酬月額と一致するかを確認できます。

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    控除額を明細と突き合わせる

    健康保険・介護保険・厚生年金・雇用保険それぞれの金額が出ます。ずれる場合は料率か等級のどちらかが違います。

社会保険料まで含めた年間の手取りを知りたい場合は手取りの計算方法を、税金側の計算は所得税と住民税の違いを参照してください。パート・アルバイトで加入するかどうかの線は年収の壁にまとめています。

よくある質問

標準報酬月額はどうやって決まりますか?
原則として4月・5月・6月に支払われた給与の平均額から決まり(定時決定)、その年の9月から翌年8月まで使われます。入社時は見込みの報酬から決め、昇給・降給で固定的賃金が変わって3か月続けて2等級以上の差が出た場合は4か月目に改定されます(随時改定)。基本給だけでなく残業代や通勤手当も含めた総支給額が対象です。
健康保険料と厚生年金保険料はいくら引かれますか?
東京都・協会けんぽの場合、標準報酬月額30万円なら健康保険料14,865円、厚生年金保険料27,450円で、雇用保険料1,650円と合わせて月43,965円です。40〜64歳はさらに介護保険料2,385円が加わります。料率は健康保険9.91%、厚生年金18.3%で、いずれも会社と折半した半分が本人負担です。
4〜6月に残業すると損をするというのは本当ですか?
定時決定はこの3か月の平均で標準報酬月額を決めるため、残業が多いと等級が上がり、9月から1年間の保険料が高くなります。ただし厚生年金保険料が増えた分は将来の年金額に反映され、傷病手当金や出産手当金の額も標準報酬月額をもとに計算されるため、まるごと損になるわけではありません。
年収が上がっても厚生年金保険料が変わらないのはなぜですか?
厚生年金には32等級(標準報酬月額65万円)という上限があるためです。報酬月額が63万5千円以上なら全員同じ保険料で、本人負担は月59,475円・年713,700円で頭打ちになります。健康保険は50等級(139万円)まであるので、年収1000万円を超えても健康保険料は増え続けます。
社会保険料は給与の何割ですか?
39歳以下でおよそ15%、40〜64歳で約15.8%です。月給30万円なら43,965円(40歳以上は46,350円)、月給50万円なら73,275円(同77,250円)が目安になります。所得税・住民税より負担が大きいことが多く、年収500万円では社会保険料721,460円に対して税金は364,000円です。

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