厚生年金の計算方法|報酬比例部分と60歳以降に働いて増える額
厚生年金(老齢厚生年金)は、働いていた期間の平均年収と加入月数で決まります。平均年収500万円で1年働くごとに、65歳からの年金は年27,405円ずつ増える計算です。この記事では、報酬比例部分の計算式、見落としがちな経過的加算、60歳以降・65歳以降も働いた場合に増える額、在職老齢年金で止まるケースをまとめます。
報酬比例部分の計算式
老齢厚生年金の中心になる「報酬比例部分」は、次の式で計算します。2003年4月以後は賞与も含めた「総報酬制」になっているため、年収で考えるとわかりやすくなります。
平均年収500万円で38年(456か月)加入した場合は、500万円 ÷ 12 = 416,667円 × 5.481/1000 × 456 = 年1,041,390円です。実際の計算では、過去の給料を今の賃金水準に直す「再評価率」をかけた額の平均を使います。2003年3月以前の期間は賞与を含まない月給で計算し、乗率も7.125/1000になりますが、賞与が年収の3割程度なら総報酬制で計算した額とほぼ同じになります。
| 平均年収 | 1年働くと増える額 | 20年 | 38年 |
|---|---|---|---|
| 300万円 | 16,443円 | 328,860円 | 624,834円 |
| 400万円 | 21,924円 | 438,480円 | 833,112円 |
| 500万円 | 27,405円 | 548,100円 | 1,041,390円 |
| 600万円 | 32,886円 | 657,720円 | 1,249,668円 |
| 800万円 | 43,848円 | 876,960円 | 1,666,224円 |
報酬比例部分は年収と加入年数に正比例するため、「年収 × 0.5481%」が1年働くごとに増える年金額の目安です。年収300万円なら1年で年16,443円、年収800万円なら年43,848円増えます。なお、年収1,080万円(標準報酬月額65万円と賞与150万円×2回)を超える部分は計算に入りません。
経過的加算:20歳前・60歳以降に働いた分
厚生年金には報酬比例部分のほかに「経過的加算」があります。昔の定額部分(1,766円×加入月数、480か月まで)と、厚生年金の期間から出る老齢基礎年金との差を埋めるもので、次の式で計算します。
20〜60歳の間だけ厚生年金に入った人は、2つの項がほぼ同じになり、経過的加算は数百円です(22〜60歳で年361円)。一方、60歳以降や20歳前に厚生年金に入った月は、基礎年金には反映されない代わりに、経過的加算として1か月あたり約1,766円(年額)増えます。22歳から65歳まで働くと経過的加算は年42,745円になります。
- 18歳で高校を卒業して就職した人:20歳前の2年分が経過的加算と報酬比例部分に反映される
- 60歳以降も会社員として働く人:60歳以降の月も報酬比例部分と経過的加算の両方が増える
- 加入月数の合計が480か月に達すると、経過的加算はそれ以上増えない(報酬比例部分は増え続ける)
60歳以降も働くと年金はいくら増えるか
22歳から平均年収500万円で働いた人が、60歳・65歳・70歳まで厚生年金に入った場合の65歳からの年金額を比べます。60歳以降の年収も同じ500万円とした場合です。
| 働いた期間 | 報酬比例部分 | 経過的加算 | 年金の合計(年) | 月額 |
|---|---|---|---|---|
| 22〜60歳(38年) | 1,041,390円 | 361円 | 1,889,051円 | 157,420円 |
| 22〜65歳(43年) | 1,178,415円 | 42,745円 | 2,068,460円 | 172,371円 |
| 22〜70歳(48年) | 1,315,440円 | 42,745円 | 2,205,485円 | 183,790円 |
60〜65歳の5年間働くと年金は年179,409円増えます。基礎年金は満額のまま変わりませんが、経過的加算が増えるため、60歳以降の1年は60歳前の1年より増え方が大きくなります。60歳以降は年収が下がる人も多いですが、下がった年収でも働いた月数の分だけ年金は増えます。たとえば60〜65歳を年収300万円で働いた場合でも、報酬比例部分が82,215円、経過的加算が42,384円増え、合わせて年124,599円増えます。
在職老齢年金:給料が高いと年金が止まる
60歳以降に厚生年金に入って働きながら老齢厚生年金を受け取る場合、給料(標準報酬月額+直近1年の賞与÷12)と厚生年金の月額の合計が基準額を超えると、超えた額の半分が厚生年金から差し引かれます。基準額は2026年4月から62万円に引き上げられました。
- 対象は厚生年金(報酬比例部分)だけで、老齢基礎年金は減らない
- 例:給料45万円+厚生年金月10万円=55万円なら、62万円以下なので全額受け取れる
- 例:給料60万円+厚生年金月10万円=70万円なら、超えた8万円の半分の月4万円が止まる
- 止まっていた分は、繰り下げても増額の対象にならない
自営業として働く場合や、厚生年金に入らない働き方(週の労働時間が短いなど)の場合は、どれだけ収入があっても在職老齢年金による調整はありません。60歳以降の働き方と年金を組み合わせて考えるときは、失業保険との関係も押さえておきましょう。64歳と65歳で退職したときの違いは60歳・65歳の失業保険で解説しています。
自分の厚生年金を計算する手順
- 1
厚生年金に入っていた期間を確かめる
ねんきん定期便の加入履歴で、会社員・公務員として厚生年金に入っていた期間を確認します。転職で空白がある場合は、合計の年数で考えます。
- 2
平均年収を見積もる
若いころから今までの年収(賞与込み)を今の水準でならした平均を考えます。ねんきん定期便の「これまでの加入実績に応じた年金額」を加入月数と5.481/1000で割り戻すと、これまでの平均がわかります。
- 3
年金 受給額計算ツールで何歳まで働くかを変えてみる
厚生年金に入る期間の終わりを60歳・65歳・70歳と変えると、報酬比例部分と経過的加算の増え方がわかります。年収別の合計額は年金の早見表も参考にしてください。
厚生年金の保険料は給料から天引きされていて、給料の9.15%(労使折半後)です。保険料の決まり方は社会保険料の計算方法で解説しています。
よくある質問
- 厚生年金はどうやって計算しますか?
- 中心になる報酬比例部分は「平均年収÷12×5.481/1000×加入月数」で計算します。平均年収500万円で38年加入なら年1,041,390円です。これに経過的加算と老齢基礎年金を足したものが、65歳から受け取る年金の合計です。
- 1年長く働くと年金はいくら増えますか?
- 報酬比例部分は年収×0.5481%ずつ増えます。年収500万円なら年27,405円、年収300万円なら年16,443円です。60歳以降や20歳前の期間は、さらに経過的加算として年約21,000円(12か月分)増えます。
- 経過的加算とは何ですか?
- 厚生年金の定額部分と、厚生年金の期間から出る老齢基礎年金の差を埋める加算です。20〜60歳だけ働いた人はほぼ0円ですが、60歳以降や20歳前に厚生年金に入った期間があると増えます。22歳から65歳まで働いた場合は年42,745円です。
- 在職老齢年金の基準額はいくらですか?
- 2026年4月から62万円です。給料(標準報酬月額と賞与の月割り)と厚生年金の月額の合計が62万円を超えると、超えた額の半分が厚生年金から差し引かれます。老齢基礎年金は減りません。
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